ライブ前、慣れない司会に挑戦。口の中がカラカラになった=4日、福井市中央1丁目の駅前電車通り

 ゴールデンウイークまっただ中の4日午前6時。人けの少ないJR福井駅西口の商店街に、20代~30代前半の若者が続々と集まってきた。「すげー眠いよ」。軽口を交わしながらも、軽トラックに長机やパイプ椅子をてきぱき積み込む。負けじと急いで長机を抱え、動き回った。

 福井市の駅前電車通りを歩行者天国にし、九つのイベントを同時開催する「超フェス」の担い手は、行政でも商店街でもない、県内の若者たち。まちづくりの実践に挑戦する記者として“現場”を体感しようと、細川、土生記者とともにスタッフに加えてもらった。

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 リーダー役の竹本祐司さん(30)に任された仕事は特設ステージの進行管理。鯖江市出身の女性シンガー・ソングライター、ナオリュウさんのライブを記者3人で仕切った。

 ナオリュウさんはこの日、ほかのイベントとの掛け持ち。細川、土生記者が前の会場まで迎えに行った。もしも連休の渋滞に巻き込まれたら…。数日前からナオリュウさんと何度も連絡を取り、余裕をもった予定を組んだつもりでも不安がよぎる。車内と何度も電話でやりとりした。

 前のステージから時間が空いたせいで、本番前の人出はまばら。マイクを握って呼び込みのアナウンスを繰り返し、細川記者は知り合いを動員しようと人混みに消えた。激励に来た山口デスクから「慣れたもんやな」と褒め言葉をもらったけれど、口の中はカラカラだった。

 緊張の連続。でも、歌声に集まったお客さんの笑顔を見るうち、楽しさが伝染してきた。手拍子の輪に加わる記者3人。正直、疲れはしたが、それが心地よかった。

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 これまで記者として数え切れないほどのイベントを取材してきた。が、見えていたのは氷山の一角だった。超フェスの準備が始まったのは半年前。資金集めやスタッフ募集、各種団体との打ち合わせなど、膨大な努力の積み重ねの末に、本番を迎えていた。

 スタッフはボランティアを含めて総勢約100人。運転代行のドライバー、飲食店員、保育士、アルバイト…。そして記者3人。普段の職業や年齢なんてまったく気にせず、イベント成功のために汗を流した。

 すべてを終えた竹本さんは「若い人たちに『福井は楽しい』と思ってもらいたくてやっている」と語った。ステージを短時間仕切ったぐらいで、まちづくりに関わったとは言い難い。だけど、福井の若者たちの確かな“熱量”を感じたことは大きな収穫だった。(高島健)

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