1月末の早朝にめまいがして、無理に起きようとしたら激しく吐きました。総合病院に入院して検査を受けたところ、異常なしで良性のめまいと言われました。退院後も薬を飲み続けていますが、体を横たえたり、寝た状態から起き上がろうとすると軽いめまいがします。何か大きな病気の前触れのようで不安です。(鯖江市、76歳女性)

 【お答えします】山田和宏・福井県立病院耳鼻咽喉科医長

 高齢者は回復に時間

 身体のバランスは、耳(内耳)からの前庭感覚、眼からの視覚、筋や腱(けん)からの体性感覚の情報を、小脳・脳幹を含む中枢神経系で統合・制御し、外眼筋や四肢体幹の骨格筋に伝えることで保たれています。めまいは、これらの感覚のミスマッチや統合異常で生じ、原因は多岐にわたります。

 めまいを引き起こす疾患には、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、めまいを伴う突発性難聴、前庭神経炎などの末梢(まっしょう)性前庭性めまい、脳血管障害、脳腫瘍、変性疾患などの中枢性めまいがあります。その他、心血管疾患、起立性低血圧、心因性めまいなどもあります。

 一般に、高齢者にはめまいが多いといわれています。人によって程度は異なりますが、高齢者は末梢前庭系、視覚系、体性感覚系、中枢神経系、運動器など全ての経路で機能が低下します。そのため、めまいが起きやすく、回復に時間がかかりやすいと考えられています。

 また、脳血管障害の原因となる高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、加齢により増えることが報告されています。その他、高齢者を取り巻く社会的な変化や家庭問題でのストレスなどの要因による心因性めまいも比較的多くみられます。

 良性発作性頭位めまい症の可能性

 耳鼻咽喉科のめまいの診療で比較的多くみられる疾患に、良性発作性頭位めまい症があります。内耳の卵形嚢(らんけいのう)という器官には、耳石という小さな石があり、その一部がはがれて隣にある半規管に入ることが原因と考えられています。

 半規管は、もともと体の回転運動を感知する場所なので、頭が動いて半規管に入った耳石が動くとめまいが生じます。今回の相談では、頭が動く時のめまいが残っており、この疾患が続いている可能性はあります。

 しかし、めまいにはさまざまな原因があり、中には重い合併症が残ったり、致命的になる疾患もあります。それぞれの専門科の受診をお勧めします。


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