福井の郷土料理を「魅せる」佐々木京美さん(中央)。協力者として名乗りを上げてくれた=福井市の県福井合同庁舎

 高校生が出すランチ、というアイデアをあきらめきれず2月末、食物科のある美方高を訪ねた。

 「生徒さんたちにとって、いい機会になりますから」。会議室に通されると、山口デスクがいつも以上に熱弁をふるった。教頭先生は「生徒が毎年、弁当を作って校内販売をしているんです。それをレストランで出すというのは、どうですかね」。

 好感触。前の学校に断られているというのに、山口デスクは楽観していた。ちょうど1週間後、電話で返事があった。「できる範囲で協力させてもらいます」

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 一方、有名シェフにメニューを監修してもらう案は断念した。福井の食を熟知した人がいい。そうすれば「オール福井」のレストランになる。

 取材でお世話になっている団体職員に相談すると「いますよ、うってつけの女性が」。紹介されたのは鯖江市の料理研究家、佐々木京美(きよみ)さん(54)だ。

 2月上旬、福井市内のビルで会った佐々木さんは、率直な物言いが気持ちのいい人だった。企画書を見た後、福井をPRする上での弱点は「見せ方」だと指摘した。「たとえば、呉汁(ごじる)も『大豆のカプチーノ』と言えば、引き付けられるでしょ」

 あー、なるほど。

 「このままでは消えてしまう福井の食がある。だけど、この企画を通してなら伝えられるものがある」。郷土料理を受け継ぐ地域のおばちゃんたちとのパイプも太い。この人だ。

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 新学期が始まって間もない今月10日。美方高食物科の新3年生32人を前に“演説”した。わざわざ1時間の授業枠をいただいて。

 私たちの計画をほとんど何も聞かされていない生徒たちは無表情、無反応。

 ならば別の方法で。いい意見は新聞に載せるでの~と話しかけると「えー、載るのぉ」の声とともに、くだけた空気へ一変した。

 「まちづくり」って言葉に、どんなイメージをもってた?

 「まちをきれいにすること」「男とか女とか関係なく、みんなでやるもの」

 そして鳥居翔太君(17)の感想。「まちづくりを高校生がやるなんて面白い。しかもレストランなんて」

 ありがとう。きっと、本当に面白いよ。 (土生仁巳)

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