とっても気になる、お店の話。

 福井市の中心部にある、その婦人洋品店は80代のおばあちゃんが1人で切り盛りしている。

 流行とは程遠い、黒や灰色といった地味な色づかいの服が多い。一つ一つをじっくり見れば、上品な雰囲気がある。息子さん夫婦は郊外に家を建てたそうで「商売は私の代でおしまい」。吹っ切れたように言われると、かえっておばあちゃんの未練を感じてしまうのだけれど…。

 3年前に取材した勝山市のおもちゃ屋さんには「仮面の忍者 赤影」の本やメンコ、花札など、昭和30~40年代のおもちゃが売られていた。

 珍しさ半分に、長嶋茂雄さんや張本勲さんの現役時代のブロマイドを買った。帰宅したら、介護士の夫が「これちょうだい。入居しているお年寄りが喜ぶ」と言いだした。実際配ってみたら好評だったらしい。

 “昭和の在庫”も、視点を変えれば立派な骨董(こっとう)品。魅力的な商材になる。それを売れ残りと片付けてしまうか、価値を見いだして商売につなげるか、考え方次第で大きく違う。

 まちづくりだって、と思う。3月末、空き家の活用に取り組む美浜町の男性と「いろんな視点から福井を楽しもう」「地元の僕たちがよさに気づき、そのセンスを県外に発信できれば」などと話し合った。見方次第で、福井にもいい素材がある。それらを自分たちが楽しむことも立派な「まちづくり」なんじゃないだろうか。

 ところで―。先日、左足に肉離れを起こし、とほほな松葉づえ生活を強いられている。ドアより昔ながらの引き戸が開けやすかったり、荷物を持ってくれた店員さんに感謝したり。視点が変わると、やっぱりいろんなことに気づく。 (土生仁巳)

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