「被写体に問題がある。もっと表情を出してくれないと」。私の写真が何度か紙面に載るようになり、わが社の写真映像部長から忠告をいただいた。ありがたい話だが、撮られることには、なかなか慣れないものだ。

 それなのに、もっと大きな“試練”がやってきた。夕方の福井テレビ「スーパーニュース」に、「刻(とき)の風」という5分間ほどのコーナーがある。そこに企画班のメンバーが定期的に出演し、連載記事に込めた思いや、書き切れなかった話なども紹介していくことになった。

 節目にはテレビカメラにも取材現場に入ってもらい、インパクトの強い映像の力も借りて奮闘ぶりを伝える。新聞とテレビの、いわゆるメディアミックスの試み。相乗効果を発揮できればプロジェクト展開の心強い“武器”になる。

 現場で、もう何回かテレビカメラとマイクを向けられた。「普通にしゃべってもらえばいいですから」。カメラマンさんの優しい声掛けに、いくらか気持ちは安らいだが、カメラが回り出すと、これが普段通りというわけにはいかない。収録後に思い返しても、何を話したのやら内容をよく覚えていない。

 初回の放送は、きょう31日。トップバッターとして、私がスタジオにお邪魔して話す。事前の打ち合わせでは「今までにない企画ですね」と興味を示してもらえた。「記者がなぜまちづくりを?」「どうしてレストランなの?」と、プロジェクトの意図を繰り返し問われもした。それに幾度も答えることで、自分自身が初心を再確認する機会になった。

 本番で話す中身は、ネタバレになるので内緒。少しだけ触れると、先日連載したプロローグのタイトルを基にしている。「意識の芽生え」。不慣れながらも、荷が重くとも、自分なりの言葉で語りたい。「被写体に問題がある」って、また言われるのかなあ。(細川善弘)

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