24歳の息子が昨年、排便時に出血しました。皮膚科を受診し、肛門から背中側に5センチほど上がったところに縦長の穴が開いていて、そこから出血していると言われました。今年春ごろまで薬を塗っていましたが、ほんの小さな穴で、ただれている様子もありませんでした。息子は生後2カ月で痔ろうの手術をしており、今回も変な穴ができて、とても不安です。(福井市、女性)

 【お答えします】五井孝憲・福井大医学部消化器外科講師

 ■痔ろう再発の可能性が高い

 肛門の周辺に穴が開く主な病気として四つの原因が考えられます。

 一つ目は「癤(せつ)」で、毛穴やその周囲に細菌が入り、膿瘍(皮膚の中にうみがたまった状態)をつくって穴が開くことがあります。二つ目は「膿皮症(化膿性汗腺炎)」で、汗腺(アポクリン腺)に細菌が入り、膿瘍をつくって穴が発生します。この二つは皮膚やその近くに発生するため、うみを体外に出したり、抗菌剤で治療します。

 三つ目は「毛巣洞(もうそうどう)」で、お尻の近くにある骨(仙骨と尾骨)の結合部やその周辺の皮膚の下に膿瘍がつくられて穴ができる病気です。受精卵から臓器ができる経過での不具合や、体毛が皮膚に刺さって入ることで生じます。治療は穴の切除と傷の縫合が必要になります。

 四つ目は「痔ろう」で、お尻の表面の穴が肛門の中まで続くトンネル(瘻管)になっています。成人の場合、完治するには肛門内とお尻の皮膚の表面をつないでいるトンネルを全て取り除く必要があります。

 相談者の質問から、塗り薬を長期間塗っていたにもかかわらず穴が完治していないと考えられます。さらに生後すぐに痔ろうの手術をされていることから、痔ろうが再度生じている可能性が高いと思われます。

 ■完治しないと痛みなどの症状も

 痔ろうは、肛門を入って数センチの所にあるくぼみ(肛門小窩)から細菌が侵入し、周囲の組織に広がって膿瘍をつくり、自然に破れるか切開されてできると考えられています。

 診断は、指で肛門の周囲の皮膚に注意深く触れて、瘻管が確認できる場合があります。また、検査として▽おしりの穴から細いチューブを入れて造影剤を流し、レントゲン撮影を行う瘻管造影▽直腸の周囲でうみの広がりを調べるCT(コンピューター断層撮影)▽お尻の脂肪、筋肉など軟部組織の状態や瘻管の状況を把握するMRI(磁気共鳴画像装置)▽経肛門的超音波検査-なども行われます。

 完治していないと、瘻管の中で細菌が繁殖してうみがたまり、腫れ上がったり、痛みや充血、発熱の症状が出る場合があり、緊急でうみを体外に出したり、抗菌薬を必要とすることもあります。

 また、腸に炎症が発生するクローン病などの非特異的炎症性腸疾患を患っている場合にも痔ろうが発生しやすく、このような病気が隠れていないか注意も必要です。

 病気が長期間に及んでいるようですので、一度大腸肛門科の受診を考慮されるとよいと思います。

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