薄毛で悩んでいます。昨秋ごろから抜け毛が多くなり、気付くと頭頂部全体が薄くなり、地肌が透けて見えるようになってきました。人目がすごく気になり、気持ちも沈んでしまいます。3、4カ月前から育毛剤を使い始めましたが、あまり変化はありません。(勝山市、49歳女性)

【お答えします】長谷川 義典県済生会病院皮膚科主任部長

! 脱毛が1日100本以内なら正常

 日本人女性の薄毛は40歳前後に始まることが多いようです。特定の部分がひどく抜けるわけではなく、一様に薄くなった感じになる「びまん性脱毛」を示します。1本の毛髪しか生えない毛包の数が増え、複数の毛髪が生える毛包が減り、全体として毛髪の密度や太い毛髪の割合が低くなることが要因です。

 男性型脱毛症では、軟らかい産毛のような毛髪が増加する「軟毛化」が特徴ですが、女性ではこの傾向はみられません。一般に、日本人の中高年女性の毛髪密度は、外見上では脱毛と分からないまま年齢とともに低くなっていきます。

 女性の脱毛は原因が多様で、分類が確立されているとはいえませんが、生理的なものと病的なものがあります。

 正常な毛は成長している期間(成長期)が2~6年で、その後3カ月程度の毛が生えない期間(休止期)になります。通常は休止期の毛が頭髪の7~13%を占めます。頭髪は約10万本あり、1日の脱毛数が平均して100本以内であれば正常な範囲と考えられ、これを生理的脱毛といいます。

 女性は閉経前後から毛の成長が鈍り、脱毛を自覚しやすくなりますが、1日平均100本以上でなければ加齢変化としてよいと考えられます。

! 病的な脱毛 女性は外用薬で治療

 これに対し、▽1日に100本以上抜ける▽わずかに髪を引っ張っただけで何本も毛が抜ける▽明らかに地肌が見える-などのような場合には病的な脱毛と考えます。

 急激に多くの毛が休止期になる脱毛の要因としては、精神的ストレスや高熱、外科手術、栄養不良、大量出血、出産後、ピルの中止などが挙げられます。半年以上脱毛が進行するような慢性的な場合は、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進(こうしん)症、鉄欠乏性貧血、栄養障害、肝障害、腎障害、悪性腫瘍、膠原(こうげん)病、感染症などが原因となり得ます。

 女性の脱毛は、明確な特徴がなく、原因の診断は容易ではありません。脱毛以外の症状で急な体重の増減、動悸(どうき)や関節の症状、発熱などがあれば、それを参考にして病的な脱毛かどうかを調べるために血液検査をします。主な治療は塩化カルプロニウムの外用薬、ミノキシジルの外用薬です。

 男性型脱毛症は前頭、頭頂の成長期の毛が減り、硬い毛が軟らかい産毛のようになっていきます。テストステロンというホルモンが還元酵素によりジヒドロテストステロンに変換され、毛の細胞に作用して毛の発育が抑制されるのですが、この還元酵素の働きを鈍らせる内服薬が治療に使われています。

 ただし、女性には無効であり、残念ながら女性に対する内服薬は現在のところ推奨されるものはありません。

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