おなかが熱く感じられてたまりません。症状は1年余り続いており、入浴時に、ばい菌が入ったような気もしていますが、病院に行ってもはっきりしません。細菌性膣(ちつ)炎という病気があると聞きましたが、どんな病気なのでしょうか。(坂井市、73歳女性)

【お答えします】 加藤じゅん 県立病院・産科・婦人科医長

!自浄作用が弱まり雑菌増殖

 女性の腟は部位的に排尿、排便などによる汚染の危険があります。通常は乳酸桿(かん)菌の働きにより、腟内は強い酸性に保たれ、他の菌の侵入を防いでいます。これを腟の自浄作用と呼びます。

 しかし、体調の変化や月経周期による女性ホルモンの変化などの原因により腟内の細菌のバランスが崩れると、乳酸桿菌が減少し、種々の雑多な菌が異常に増殖しはじめます。この状態を細菌性腟炎あるいは細菌性腟症と呼びます。

 灰白色の生臭いにおいのあるおりものが特徴ですが、炎症は強くなく、症状に気付かないことも多いようです。しかし細菌が子宮頚(けい)管を通ると子宮内膜炎、さらに上部の骨盤内にまで及ぶと骨盤腹膜炎を引き起こします。また、妊娠中の女性の場合は流産や早産につながることもあるため、注意が必要です。

 一方、閉経による女性ホルモンの減少が原因となって起こる腟炎を、萎縮性腟炎といいます。出血や黄色いおりもの、外陰部や腟の乾燥感、熱くてひりひりするような感覚、かゆみなどの症状がみられます。

 カンジダやトリコモナス原虫が原因の腟炎は、それぞれカンジダ腟炎、トリコモナス腟炎と呼び、細菌性腟症とは区別されます。カンジダ腟炎ではヨーグルトのようなおりものと強いかゆみ、トリコモナス腟炎では黄色い泡沫(ほうまつ)状のおりものが特徴です。

!骨盤内に菌が入った可能性も

 細菌が子宮内にまで及ぶと下腹部痛や発熱、においの強い膿(うみ)のようなおりものがみられます。さらに菌が卵管や骨盤内に侵入すると付属器炎、骨盤腹膜炎となり、症状が強く現れ、不妊の原因にもなります。

 子宮頚管が閉鎖あるいは狭くなって膿が子宮内にたまったものを子宮留膿(りゅうのう)症と呼び、下腹部痛の原因となることもあります。

 膣炎の治療には腟に入れる抗生剤や女性ホルモン剤の錠剤を用います。病院で入れることもありますが、自宅に持ち帰って自分で腟に入れることも可能です。炎症が子宮内や骨盤内に及ぶ場合は、抗生剤の内服や点滴を併用します。また子宮留膿症では子宮内の洗浄を行ったり、場合によっては子宮を摘出することもあります。

 通常、膣炎のみでは下腹痛は認めません。ご相談のような下腹部の熱い感じを伴うのは、消化器系の疾患でなければ、骨盤内にも菌が侵入している可能性もあります。一度産婦人科を受診してみてはいかがでしょうか。

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