1年以上前から、左足薬指の爪が左半分ぐらい黒くなっています。そのうち普通の色に戻ると思っていましたが、全く変わりません。これは、どんな状態なのでしょうか。また、ほっておいてもいいのでしょうか。今後すべきことを教えてください。(敦賀市、54歳女性)

【お答えします】 長谷川義典 県済生会病院皮膚科主任部長

!靴のこすれ、圧迫はないか

 まずは一般的なことからご説明しますと、爪が黒っぽい色になる原因にはメラニン色素を作る細胞(メラニン細胞)の増殖、外傷・炎症・圧迫によるメラニン細胞の活性化、血腫(爪の下の出血)、菌の感染、薬剤、全身性疾患などがあり得ます。

 薬剤や全身性疾患が原因の場合は一つの爪だけでなく、全てもしくは多くの爪が変色します。したがって、今回のケースは薬剤と全身性疾患を除外できます。黒く変色している爪の部分が靴などにこすれたり、圧迫されていることはないでしょうか。もし、靴のサイズが合わないなどでそのようなことがあれば原因となり得ます。

!菌侵入や出血の可能性も

 また、爪が少し浮いたりあるいは変形したりしていないでしょうか。爪と皮膚にすき間ができているとそこから菌が侵入し、黒く変色することがあります。その場合は浮いている爪を切り取ったりして病変部を露出させ、抗生物質を含む外用剤を塗ったり、抗生物質を内服したりして治すことができます。

 爪の下の出血は、時間がたつと黒っぽく見えます。足の爪の成長は遅く、すぐにはその色が取れません。しかし、数カ月も待てば少しずつ爪は伸びて色の付いている部分は爪の先端に向かって移動し、正常な色の爪が根元にでてきます。また、特殊なダーモスコピーという簡便な皮膚科用の顕微鏡で観察すると、かなりの確率で出血かどうか区別できます。

!悪性黒色腫の見極め重要

 出血でないとするとメラニン色素を作る細胞の増殖が原因である可能性が高くなります。メラニン色素に関してもダーモスコピーによる観察は有用で、色素の模様のパターンを見ることにより診断の参考になります。

 メラニン色素を作る細胞が増殖したものは色素性母斑と呼ばれ、一般に「ほくろ」といわれます。分かりやすく表現すると、良性の「ほくろ」と悪性の「ほくろ」があります。

 悪性の「ほくろ」は悪性黒色腫といわれ、転移が早いため恐れられています。したがって、この悪性黒色腫かどうかを見極めることが重要となります。

 悪性の場合は数カ月でみるみる大きくなる、あるいは、色の幅の広がりが早いことや爪の根元の皮膚に染み出したように黒い色が出てくることなどが特徴です。色の付き方も不規則で不整です。

 ダーモスコピーによる診察や見た目の色の具合、大きくなるスピードなどを参考に診断しますので、まずは皮膚科を受診され、場合によっては定期的な診察を受けられた方がよいでしょう。

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