先日、首が回らず頭痛もあったため、病院に行きました。CTとレントゲンを撮ってもらい、首の下(甲状腺)に1・4センチの腫瘍が見つかりました。半月後に再度受診するよう言われましたが心配です。今後どうなるかや治療方法、生活の注意点を教えてください。(勝山市、56歳女性)

 【お答えします】 嘉藤 秀章県立病院耳鼻咽喉科主任医長

! まず超音波エコー検査を受ける

 甲状腺の腫瘤(しゅりゅう)といっても、がん、腺腫、腺腫様結節などいくつかの疾患があります。その種類によって、治療方針は異なりますから、まず、見つかった腫瘤が何なのかを知る必要があります。その際に役に立つのが、超音波エコー検査と穿刺(せんし)吸引細胞診です。

 まず、エコーで甲状腺を見ると、腫瘤の大きさ、形態、石灰化の有無、固形か嚢胞(のうほう)か、血流、硬さなど、さまざまな情報が得られます。これらの特徴を注意深く観察すると、がんなのか、良性の腫瘍なのか、あるいは腫瘍以外の病変なのかを区別することができます。

!がんの疑いあれば細胞診

 エコー検査で、がんの疑いがあるときは、穿刺吸引細胞診を行います。これは、腫瘍に注射針を刺し、吸引して採取した細胞の形態を顕微鏡で見て、良性か悪性かを判定するものです。良性または悪性と正しく診断できる割合を正診率といいますが、それが90%を超える極めて信頼性の高い検査方法です。

 甲状腺疾患の治療経験が豊かな医師が、エコーと細胞診を用いて診察すると、ほとんどの場合、正確な診断ができるのです。

 これらの検査で、がんと診断された場合は、手術を受ける必要があるでしょう。甲状腺の一部または全部を、周囲のリンパ節とともに摘出します。切除すべき範囲は、がんの大きさ、リンパ節転移の有無などによって適切に決められます。

 がんでない場合、直径1・4センチの良性腫瘍ならば、通常は切除する必要はありません。

!不安がらずに通常の生活を

 さて実は、甲状腺の腫瘤はさほど珍しいものではありません。例えば検診で無症状の人にエコー検査をすると、数%もの人に甲状腺の腫瘤病変が見つかります。

 とはいっても、それらのうち、がんは10%前後にすぎず、大多数は腫瘍以外の病変や良性腫瘍です。また、仮にがんであったとしても、手術後10年生存率が90%以上もある、治しやすい疾患ですから、むやみに恐れる必要はありません。まず明確な診断を受け、治療方針を決定するのがよいでしょう。

 生活については、特に制限はありません。甲状腺がんを発症させやすい危険因子として、放射線被ばく、肥満が挙げられます。その他の要因、例えば食事、飲酒などは甲状腺がん増加の危険因子にならないことが証明されています。あまり不安に思わず、これまで通り、のびのびと暮らしていかれることが大切です。

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