10年前から肩が痛くて、整形外科に通院していました。薬や注射、マッサージなどの治療を受けてきましたが、完全には治りません。ひどく痛み、吐き気やせきにも悩まされています。精神的にもつらくて、毎日不安です。どのように対処すればよいか教えてください。(福井市、40歳女性)

【お答えします】 柴田弘太郎 福井赤十字病院整形外科副部長

! 肩凝りは筋肉の血行障害で生じる

 10年来の肩の痛みとのことですが、記載された内容と経過から慢性的な肩凝りによる症状と思われます。しかし、確定的な診断のためには、頚椎(けいつい)のレントゲンやMRIによる精査、頚椎症などの神経学的な疾患や骨の疾患の否定が必要です。
 肩凝りの病態ですが、一般的には頚部から頭や肩甲骨を支える僧帽筋(そうぼうきん)とその周辺の筋肉で、「何らかの理由」によって緊張が続き、筋肉の血液循環障害を生じることが原因とされています。循環障害により筋肉に老廃物質が蓄積し、これが刺激となって肩凝りが生じるといわれています。
 また、筋肉の凝りや痛みが生じれば、血行がさらに悪くなり、悪循環に陥ります。ひどい場合には筋肉の炎症を生じ、強い痛み、頭痛、気分不良を生じることもあります。

! 筋肉が緊張する原因を把握する

 治療で重要なのは、僧帽筋とその周辺の筋肉の緊張を持続させている「何らかの理由」を把握することです。長時間のデスクワークやパソコン作業、生活様式、精神的なストレス、姿勢、頚椎の並びや変形、視力の低下、耳鼻科的疾患、歯並びなどの口腔(こうくう)内の環境、などさまざまです。
 患者さんによって筋肉が緊張する原因は異なりますので、原因をしっかり精査し、原因を取り除く、もしくは軽減させることが治療には不可欠です。

! 体操など筋肉を動かす努力も

 さて、原因はある程度分かったとしても、筋肉の緊張はすぐには改善されません。そこで、どのような治療をすればよいかということですが、先ほども述べたように、筋肉の持続的な緊張により血液の循環障害が生じているので、筋肉の緊張をほぐし、血行をよくすることが症状改善に重要です。
 一般に行われているマッサージ、温熱療法は非常によいです。また、筋肉の炎症が強い場合は、薬物療法(湿布、消炎鎮痛剤、ステロイド剤など)、局所注射などの積極的な消炎療法の追加も必要になります。
 これらの加療に加えてもう一つ重要で忘れやすい筋肉の血液循環を良くする治療は、筋肉を動かす努力をすることです。肩凝りの体操や凝っている筋肉に力を入れる運動が大切です。当院では500ミリリットルのペットボトルに適量の水を入れ、腕を横にたらした状態で肩をすくめる簡単な僧帽筋訓練体操を指導しています。

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