夏目漱石が芳賀矢一に送ったはがき

 福井県は5月23日、文豪夏目漱石が福井市出身の国文学者芳賀矢一(はが・やいち)宛てに送った自筆のはがきを発見したと発表した。はがきの内容は1917年刊行の「漱石全集」に掲載されているが、実物は所在不明になっていた。

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 漱石の書簡研究の第一人者中島国彦さん(早稲田大名誉教授)は「1世紀にわたり所在不明だった漱石の自筆が発見されるのは珍しく貴重な資料」と話している。

 「国文学の父」と称される芳賀と漱石は東京帝大の学友で、文部省の留学生として1900年に同じ船に乗り芳賀はドイツ、漱石はイギリスに渡った。漱石が芳賀に送ったはがきは01年8月1日付で、留学仲間の死を知った芳賀からの記念文庫設立の呼びかけに漱石が応じる内容。

 芳賀宛てと同様に所在不明だった、学友で留学仲間のドイツ文学者藤代禎輔(ふじしろ・ていすけ)宛ての絵はがき2点も見つかった。

 県立こども歴史文化館が昨年9月、福井市内の古書店で、漱石が送った3点を含む194点の書簡を発見し寄託を受けた。中島さんらと調査し、筆跡などから自筆と確認した。

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