渡辺淳さんとの思い出をスケッチした作品などが並ぶ渡辺孝男さんの作品展=福井県おおい町岡田の若州一滴文庫くるま椅子劇場ホワイエ

 福井県おおい町の絵画愛好家渡辺孝男さん(73)が、昨年8月に死去した同町の洋画家、渡辺淳(すなお)さんとの思い出をスケッチした作品を、若州一滴文庫くるま椅子劇場ホワイエ(同町岡田)で展示している。淳さんのことを「尊敬する先生であり、親しい友人。作品を見て、在りし日の先生に思いをはせてもらえたら」と話している。

 孝男さんは「先生と会えなかったら、今の私はない」と個展への意気込みを語る。会場には、スケッチや油絵など約50点を並べた。淳さんが穏やかにほほ笑む姿をスケッチした作品は、輪郭など全てを「淳」という字で表現し、淳さんへの愛があふれている。

 淳さんが常に持ち歩いていたという革のかばんをスケッチしたものは、思い入れの深い作品の一つ。かばんは淳さんの生前、2015年に譲り受けた「私の大切な宝物」。作品では「淳さんのカバンから山、河を歩いた想いでがいっぱいでてくる。淳さんに会えそうで…」と思いをつづっている。

 2人の出会いは約15年前にさかのぼる。定年を間近に控えた孝男さんが新たな趣味を見つけようと、淳さんの絵手紙教室に通い始めたことがきっかけ。すぐに打ち解け「アトリエに遊びにおいで」と誘われ、暇ができる度に通った。「先生は出掛けることが好きだった」。一緒にドライブに行くようになり、多い時には毎週、町内外へ出掛けたという。

 別れは突然だった。訃報を聞いた時は「人が亡くなって、ここまで悲しい気持ちになったことはなかった」。プロ野球の阪神タイガースのファンだった淳さんと試合結果について夜な夜な電話した日々があり、亡くなってからもつい電話を手に取っていたほど「実感が湧かなかった」と振り返る。

 孝男さんは「桜が咲く春になった今、先生が個展をのぞきに来てくれる気がするんです」と語る。「照れくさそうに笑いながら『孝男君、面白いことやってんな』って声を掛けてくれるんじゃないかな」

 5月7日まで。入場無料。開館時間は午前9時~午後5時。火曜休館。

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