「指導死」問題について講演する野尻紀恵准教授=3月12日、名古屋市

 2月25日に「指導死」親の会が名古屋市で開いたシンポジウムには、昨年3月に校舎から飛び降り自ら命を絶った、福井県池田町立池田中学校の男子生徒の母親ら遺族も参加した。シンポジウムには、日本福祉大学の野尻紀恵准教授(社会福祉学)が登壇、日本の子どもは諸外国に比べ自己肯定感がかなり低いことを訴えた上で「学校の中に教育はあるが福祉がない。子どもたちが幸せに思える学校づくりが忘れ去られている場合がある」と問題提起した。

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 高校教師の経験を持つ野尻准教授は生徒指導について、“子どもはこうあるべき”と社会が枠を厳しく設け、その要請に沿って学校は独自の決まりを作っていると分析。「子どもらしい生活を保障されないまま、非常に厳しい生活を強いられているのではないか」と校内の環境に疑問を呈した。

 「非行や不登校、課題を出せないなどの症状は子どもが発するSOS。それに対する指導が繰り返されると、友達や地域の人たちが手を差しのべにくくなり、切り離され、いじめが起きたり孤立したりする」とし、最終的に夢が絶ちきられることが大きな問題だと訴えた。

 池田中の生徒を厳しく指導叱責した担任や副担任にも言及。「きたえる教育」とうたう福井県の教育が問題の背景にあるとの見方を示し、県内の学校では「(厳しい指導による)鍛えるという行為が当然にあることなのではないか。(県の方針に従って)教師は善意の押し付けができる」と述べた。

 指導死や体罰は、教師と弱者としての子どもの権力構造を背景にした、子どもへの重大な権利侵害と批判。学校教育の在り方として「誰のための学校なのか、何のための指導なのかを問い続けなければいけない」と語った。

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