寺に保管されている「幽霊」を描いた絵=福井県あわら市花乃杜1丁目の願泉寺

 腰まで伸びた長い髪、不気味に笑う顔、透けた足元…。福井県あわら市花乃杜1丁目の願泉寺には女性の“幽霊”を描いた絵が保管され、寺に残る不思議な話を今に伝えている。

 同寺坊守の有馬ひとみさん(67)と市民グループが発行した「あわらの民話」などによると、明治の終わりごろ、白い着物を着た檀家の老婆が夜、寺を訪ねてきた。その悲しげな顔を見て、当時の住職がお経を上げると、老婆の姿は消え、床に20センチほどの焦げた両足の跡が残っていたという。

 1915年ごろ、この話を聞いた東洋大の創設者で妖怪研究者の井上円了が寺を訪問。足跡を見て「怪哉(かいなるかな)願泉寺幽霊易石跡(がんせんじゆうれいそくせき)」と書いて残していったとされる。絵は、この言葉と言い伝えを基に描かれ、寺に寄贈されたと伝えられる。縦約140センチ、横約60センチ。作者は定かでないが、裏面に「佐賀」「洋画家」との文字がある。

 焦げ跡は、福井地震の後に床を張り替えたため残っていないが、絵は本堂の物入れに大切にしまっている。有馬さんは「少し不気味だけれど、寺の歴史を伝える資料。これからも守っていきたい」と話している。絵は要望があれば無料で見ることができる。

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