大雪でつぶれたビニールハウス。5月の収穫に向けソラマメを育てている途中だった=福井県坂井市

 記録的な大雪による福井県内の農業用ハウスの倒壊被害が、全体の約4分の1にあたる900棟を超えた。ハウスの再建には多額の費用が必要な上、県内には施工業者が少ないため、復旧には時間がかかるとみられる。ミディトマト「越のルビー」などの定植や稲の育苗を控えていたハウスも多く含まれ、春以降の農作業に大きな影響を与えそうだ。

 2日までの県のまとめによると、県内に約3700あるハウスのうち、901棟が倒壊。作物を栽培中だったものはホウレンソウ146棟、小カブ58棟など計279棟、栽培準備中は622棟に上っている。被害は嶺北11市町に及び、坂井市が最多の343棟。次いで福井市が255棟、あわら市が166棟となっている。

 定年退職後に園芸農業を始めた坂井市の横川政行さん(68)のハウスは、11棟中5棟が倒壊した。収穫期を迎えていたホウレンソウや生育中だったソラマメが被害を受けた。収穫後には越のルビーの定植を予定していたが、苗の購入はキャンセルしたという。「復旧には数百万円かかり、支援がないと再建は考えられない。年齢的にも厳しい」と肩を落とす。

 JA県経済連によると、これからトマトやスイカ、メロンの定植が本格化するが、県内にはハウスの施工業者が少なく、定植が遅れたり作付面積が減ったりといった影響がありそうだ。

 県内の施工業者によると、通常ならこの時期は、秋以降に注文を受けたハウスの新設作業に追われるという。今年は昨秋の台風21号で被災したハウスの修繕も重なり「手いっぱいの状態」。それらの作業も大雪で遅れており、雪で倒壊したハウスの再建に取り掛かるのは「6月以降になる見込み」という。

 4月に稲の育苗を控えていたハウスは240棟が被害を受けた。JA福井市は、例年は個人で育苗していた農家がJAに育苗を依頼するケースが増えると予想。苗の増産を計画中で「影響がないよう努めたい」としている。

 県や市町、県JAグループは無利子で農業経営支援資金の貸し付けを始めた。また県は、施設の再建・修繕に掛かる費用の補助率引き上げなど、国の支援制度を活用するとともに県独自の支援策も検討している。県農業共済組合によると、県内の園芸施設共済の加入率は47%となっている。

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