出産後3カ月たち、しゃべる時に舌がもつれる感じに悩んでいます。ろれつが回らず、言おうとしたことがうまく伝えられません。出産直後に声が出なくなり、ものを飲み込みにくい、つばを飲むと左耳がこもるなどの症状があって耳鼻咽喉(いんこう)科や神経科を受診しました。処方された薬は副作用が強く、飲むのをやめてしまいました。どの科を受診すればよいかや対処法を教えてください。(福井市、23歳女性)

【お答えします】 林浩嗣 県済生会病院神経内科医長

! 似た症状 神経内科の受診多い

 出産後3カ月たち、しゃべる時に舌がもつれる感じがして悩んでいらっしゃるということですが、育児にも差し障りがあり、毎日、お困りと存じます。
 ご相談いただいた症状は、ろれつが回らない、物を飲み込みにくいなどですね。このような症状がみられる場合、神経内科を受診される方が多いようです。
 皆さんがご心配なのは、脳に何らかの病気があるために、これらの症状が出ているのではないかということだと思います。

! 脳梗塞起こした可能性

 ご相談の場合、出産直後に症状が出ているというのがポイントだと思います。
 妊娠や出産時は、血液やホルモンのバランスが、普段の状況とは異なります。その結果、血液が固まりやすい傾向にあるようです。ろれつが回らない、物を飲み込みにくいなどの症状が出産直後、突然起こったと考えると脳梗塞を起こした可能性が考えられます。
 脳梗塞には動脈が詰まって起こる場合と静脈が詰まって起こる場合があります。
 前者は、心房細動、感染性心内膜炎、心臓弁膜症、奇異性脳塞栓、抗リン脂質抗体症候群、血管炎(SLE、高安(たかやす)病)などが原因で起こります。後者の脳静脈洞血栓症は、出産後に起きやすく、妊娠中毒症、敗血症、血小板増多症、抗リン脂質抗体症候群に関連して起こるといわれています。
 診断には、CTやMRIなどの画像検査を行います。脳梗塞と診断されれば、原因検索のために検査が必要です。超音波検査(頸(けい)部血管エコー、心エコー、経食道心エコー、下肢静脈エコーなど)、心電図、血液検査などが挙げられます。
 特に血液検査は大切です。血液が固まりやすくなる病気が隠れてないかを調べます。

! リハビリで少しずつ回復

 治療は、再発予防のための血液をサラサラにする薬、隠れていた病気に対する治療、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの危険因子の治療などが挙げられます。
 お悩みの症状については、リハビリをすれば、少しずつ回復していくと思います。
 脳梗塞というと高齢の方に多いと考えがちです。非常にまれですが若い方にも、特殊な状況にある場合には起こることがあります。
 突然、しびれ・脱力、めまい・ふらつき、ろれつが回らない・言葉が出ない、物が見えにくい・二重に見える、激しい頭痛などの症状がみられましたら、早急に神経内科専門医のいる施設を受診されることをお勧めいたします。

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