花芽や葉を食いちぎられた水仙。毎冬海岸一面を彩った花が、今シーズンは見られない=福井県南越前町

 日本水仙の三大群生地の一つ越前海岸で、水仙の獣害が深刻な状況になっている。福井県南越前町河野地区では、シカやイノシシによる被害が年々拡大し、2年連続で出荷本数0本という事態に。侵入防止のネット設置は追い付かず、常陸宮家への献上水仙の用意にも一苦労した。被害は主要産地の越前町、福井市越廼地区にも広がり、景観や観光面への影響も出始めている。

 JA越前たけふや南越前町によると、河野地区で獣害が顕著になったのは5、6年前。出荷本数は2008年度の11万本から減少し続け、14年度は9千本、15年度は1千本、16年度は0本になった。

 ⇒【グラフ】越前水仙の出荷本数

 まとまった本数を集められず、出荷をやめたり、個人で販売したりする農家もいるという。海沿いの斜面を彩る冬の風物詩が見られなくなり、農家からは「水や肥料をやらなくても当たり前のように山一面に生えていたのに…」とため息が漏れる。

 同町、越前町、福井市は毎年12月、持ち回りで常陸宮家に越前水仙を献上しており、本年度は南越前町の担当だった。例年、農家1軒で千本近い切り花、約200の球根をそろえたが、今冬はそれぞれ半分ほどしかなく、切り花は3軒、球根は2軒の近隣農家で協力した。越前町産を献上せざるを得ないのでは、との声も上がったという。

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