【問い】 75歳の母は、膝(ひざ)のお皿の部分の軟骨がひどくすり減っているようです。高齢の女性にはよくあると聞きますが、立ち上がる時にかなり痛そうで、ゆっくりとしか歩けない状態です。飲み薬だけでは楽にならず、注射を数回打っています。手術など、ほかに治療法はあるのでしょうか。70代になっても元気な人はいますが、生活習慣やストレスが関係するのでしょうか。(鯖江市、女性)

 【お答えします】 淺野太洋 福井赤十字病院整形外科部長

 ! 変形性膝関節症か

 関節の軟骨には、骨が受ける衝撃を吸収するクッションの役割と、関節が滑らかに動くよう骨と骨との摩擦を防ぐ働きがあります。膝の関節の軟骨がすり減ると、関節に炎症が起きたり、次第に関節が変形して痛みを生じます。これを、変形性膝関節症といいます。加齢とともに発症し、男性よりも女性に多いのが特徴です。
 膝関節の軟骨は、主に、大腿骨(だいたいこつ)(太ももの骨)と脛骨(けいこつ)(すねの骨)の間ですり減りますが、同時に、膝蓋骨(がいこつ)(お皿)と大腿骨の間の軟骨もすり減ってきます。ご相談の方も、膝の軟骨がひどくすり減っているとのことで、変形性膝関節症に当てはまります。

 ! 人工関節に置き換えも

 変形性膝関節症の治療ですが、主に、痛みや炎症をおさえる飲み薬や外用薬を用いたり、ヒアルロン酸の関節内注射を行います。ほかに、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の筋力訓練などのリハビリや、サポーターや足底板などの装具を用いる場合があります。しかし、それらの加療でも効果が不十分であれば、手術が考慮されます。
 手術にはいくつかの方法がありますが、70代以上の方で変形性膝関節症が高度であれば、人工膝関節置換術が考慮される場合が多いでしょう。傷んだ膝の関節を人工の関節に置き換えることにより、痛みが軽快し歩行能力が大きく改善します。
 以前の人工膝関節では、膝の曲がりが十分でなく、術後に患者の生活が制限されることがありました。しかし最近では、よりよく曲がる人工関節の開発が進み、手術手技も進歩して、術後に正座が可能な患者も見られるようになりました。

 ! 半月板断裂など ほかの原因も

 ご相談の方は、立ち上がる時にかなり痛そうで、ゆっくりとしか歩けない状態とのことで、かなりお困りのことと存じます。
 変形性膝関節症以外にも、半月板の断裂などが痛みの原因となっている場合や、膝関節以外の関節や脊椎の疾患が症状に関係している場合もあります。お皿の部分の軟骨のみがすり減っている場合には、もともとの膝蓋骨の亜脱臼などが原因となっている場合もあります。
 ご相談のように、生活習慣やストレスも症状には関係します。同様の症状でも、おのおのの患者では病態や最適な治療法が異なります。再度整形外科を受診して、相談することをお勧めします。

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