【問い】 昨年5月から指先がしびれ、日々ひどくなりました。病院で首の骨が傷んでいると言われ、整形外科で薬をもらって飲んでいますが、あまり良くなりません。最近は手足が少し不自由になったように思います。このままの治療のほかに、リハビリなどをした方がよいのでしょうか。(小浜市、91歳女性)

 【お答えします】 高塚和孝 福井赤十字病院リハビリテーション科部長

! 神経根と脊髄で異なる症状

 頚椎(けいつい)(首の骨)は、脳からつながる神経の通り道となっていて、脊髄と腕や手へと枝分かれする神経(神経根)が通っています。重い頭を支え、しかもよく動く部位なので、加齢とともに骨の変形が起こりやすく、これらの神経が圧迫されることでいろんな症状を来します。
 神経の症状は、神経根と脊髄に分けて考えられます。一般に、神経根症状は、左右どちらかの肩から腕や手、指の鋭い痛みやしびれ感、時に脱力感も来しますが、治療・時間経過とともに多くは軽快していきます。
 それに対して脊髄症状は、左右両方の鈍い痛みやしびれ感が多く、腕や手だけでなく体幹・足にまで症状が広がります。指の細かい動作ができずに、食事、書字、着衣に支障が出たり、歩行時のふらつきや段差でのつまずきで、転倒しやすくなります。更に排尿・排便障害が出現することもあり、症状はなかなか改善しません。

! まずは投薬とリハビリ

 ご相談の方は、症状が持続し手足が不自由になったということですので、脊髄症状が出ているものと思われます。レントゲンや磁気共鳴画像装置(MRI)による画像で診断をつけ、まずは投薬やリハビリテーションによる保存加療を行いますが、神経の圧迫が顕著なものや脊髄に損傷を生じている場合には限界もあります。
 投薬は、鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤、ビタミン剤が一般的ですが、最近は慢性の痛みに対してオピオイド系の鎮痛剤や貼付(ちょうふ)剤、神経伝達物質抑制剤などの新薬も出てきています。時にステロイド剤を使用することもあります。
 リハビリテーションは、手足の筋力や運動機能を維持し、日常生活の自立や転倒予防を図る上で有意義です。頚椎の牽引(けんいん)や物理療法が有効なこともありますが、不適切な施術でかえって悪化することもありますので注意が必要です。

! 年齢、状態、生活から治療法検討

 神経が物理的に圧迫されている病態ですので、手術で神経の圧迫を取り除くことが根本治療となります。強い痛みや運動障害、排尿・排便障害で日常生活への支障が強ければ手術適応となりますが、神経の損傷の程度や病気にかかっている期間の長さなどで回復の度合いが異なり、手術をしても症状が残ることもあります。
 手術の合併症も皆無とはいえず、患者の年齢や全身の状態、支障の程度、社会での活動性などを考慮しながら、治療方針を決める必要があります。転倒を契機に神経症状が急激に進行することもありますので、つえなどを使用して転倒には十分注意するとともに、主治医とよく相談して加療することをお勧めします。

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