山田和人 福井赤十字病院 歯科・歯科口腔外科部長

 【質問】半年ほど前から家族に口が臭いと言われます。毎日ではないのですが、これまで言われたことがなく驚きました。部分入れ歯ですが、清潔にしているつもりです。同じ時期から朝5~7回くしゃみをするようになり、水鼻が出ます。顔を洗うと、左の鼻から瘡(かさ)のような物が必ず出ます。また、鼻の穴の近くにかゆみがあります。口臭と鼻の症状が関係しているのでしょうか?(大野市、70歳女性)

 【回答】口臭を気にされているようですが、口腔(こうくう)内も部分入れ歯も清潔に管理し、虫歯や歯茎の腫れもないのであれば、口臭の原因が口腔内にある可能性はほとんどないでしょう。朝のくしゃみや水鼻、左の鼻からの瘡といった症状から「上顎洞炎(じょうがくどうえん)」、一般的には「蓄膿(ちくのう)」と呼ばれる病気が考えられます。
 上顎洞は鼻の両脇にあり、鼻に入ってくる空気を温め、加湿する器官です。この部分が炎症を起こし、膿(うみ)がたまる状態を上顎洞炎と呼びます。鼻のすぐ横に膿がたまるので自分でも臭いと感じそうですが、四六時中膿があるため、自覚できない場合もよくあります。
 また、さまざまな動作で上顎洞と鼻腔(びくう)をつなぐ孔(あな)から膿が鼻腔内を経て、水鼻のように鼻孔や口腔内に漏れたり、これが鼻粘膜を刺激して、くしゃみが出るといった症状も現れます。この場合の水鼻は膿であるため、黄褐色で臭いがあるのではないかと思われます。さらにこれが固まって瘡となったり、この膿が口臭の原因となることも考えられます。鼻孔のかゆみも炎症が関係しているのかもしれません。
 一般的な治療は抗菌薬の服用と上顎洞にたまった膿を洗い流すことで、症状は改善します。ただ、治療にもかかわらず、なかなか治らない場合もあります。炎症の原因が細菌ではなくカビであったり、鼻の異常や歯の病気が関係している場合に難治性となることが多いようです。
 また、非常にまれではありますが、上顎洞にがんができ、がんの中心部が腐ってきた場合にも同様の症状があります。ただ今回の場合は、半年前から同じような症状があるので、これとは異なると考えます。がんであれば半年たてばかなり大きくなり、目の見え方がおかしくなったり、鼻が詰まったり、目の下が腫れてきたり、口の中にできものが出てきたりと、ほかの症状も現れます。
 まず、近くの耳鼻科を受診することをお勧めします。蓄膿は治療を開始すると短期間で症状はなくなりますが、中途半端に治療をやめてしまうと、また出てきます。何度も繰り返すと治りにくくなります。完全に治すにはかなり時間がかかることを念頭に置いて、根気よく治療してください。

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