小学生と一緒にノリウツギを採取する穴馬紙大すきの会のメンバーたち=7日、大野市面谷

 大野市の旧穴馬(あなま)村(現和泉地区)に伝わる和紙「穴馬紙(がみ)」を継承しようと、住民たちが「穴馬紙大すきの会」を結成し活動に励んでいる。自ら紙をすき、子どもたちにもその良さを伝え、紙の活用法も探っていく。「和泉の自然と伝統がこの一枚に込められている」と魅力を広くPRしたい考えだ。

 穴馬紙は、地元に育つ樹木「ノリウツギ」と「コウゾ」のみを原料とする。市教委学芸員らによると、旧穴馬村の多くの農家が農閑期の冬場に収入源の一つとして作っていたとされる。丈夫で質が良く、村外へも売っていた。

 8年ほど前からは地元の高齢女性に作り方を習った中村志野さん(48)=朝日=のみが手掛けてきた。高齢女性が行っていた和泉小の卒業証書作りを引き継ぎ、子どもたちに地場産和紙の存在を伝えてきた。

 昨秋には地域の住民たちも「伝統を次の世代に残したい」と卒業証書作りに加わり、今春、さらに活動を広げようと中村さんら13人が会を結成した。発起人で代表を務める西二郎さん(63)=朝日=は「昔ながらの紙を次へつなぎたい一心。焦らず、ゆっくりと進めていきたい」と話す。

 7日は、会員4人と和泉小児童が卒業証書作りに取り掛かった。一行は同地区の面谷の山へ入り、のりの代わりになるノリウツギを採取した。会員たちは「幹の芯と皮の間にある緑色の部分をぬるま湯に浸すと、接着性のある液体がにじみ出る」などと説明。子どもたちが楽しむ姿に「昔の人の素晴らしい知恵を感じてもらえたら」と目を細めた。

 会員たちはノリウツギやコウゾの栽培に挑戦するほか、紙を使ってテーブルマットやカードなどを製作できないか検討していく。西さんは「大量生産は難しいが、昔ながらの穴馬紙に新しいアイデアが加われば面白い。これからが楽しみ」と笑みを浮かべた。