古代の山林寺院跡とみられる朝宮大社遺跡=9月、福井市朝宮町

 この付近に中心的な遺構があり、本堂跡と考えられる長方形の平たん面(約20メートル×約10メートル)の東側に前庭とみられる一辺約40メートルの正方形の平地が連なる。過去に古川さんが発掘調査を手掛けた、約4キロ西側にある9~10世紀の山林寺院跡「明寺山廃寺」(福井市風巻・大森町)とよく似た構造という。

 平たん面は、前庭部分だけでも明寺山廃寺全体がすっぽり収まってしまう広さ。さらに標高20メートルから頂上にかけて広い範囲で平たん面が確認され、うち1カ所は全長約70メートルに及ぶ。浄水寺(きよみずでら)跡(石川県小松市)など北陸3県の主な古代の山林寺院跡と比較しても巨大で、古川さんは「地域の寺の規模を超え、越前国という国レベルで営まれていた可能性がある」と話す。

 当時の越前国府が置かれていた丹生郡の北東端に位置し、東側を向いていることから、白山を遥拝したり、郡境で疫病などの災いが入ってこないように祈祷したりする場だったのでは、との見方が専門家から出ている。

 ただ、風当たりの強い場所で、古川さんは「台風などの被害を避けるため、中世になると五重塔を伴った方山真光寺に移ったのではないか」と推測している。

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