「親孝行」と書いた色紙と紫色のグラブを手に喜ぶ中央大の鍬原拓也投手=26日、東京都八王子市の中央大多摩キャンパス

 高校はシニア関係者の勧めもあり、特待生で野球ができる北陸高を選んだ。「お金の面で迷惑をかけたくないし、伸び伸びと野球ができる」。寮生活を経験し、雪の多さに戸惑いながらも「親のありがたみが分かった」。大学進学は諦めていたが、中央大OBで北陸高の谷津田伸二監督(55)が母校への進学を橋渡し。「レベルの高い東都リーグで力をつけ、4年後のドラフトで上位指名されるように頑張れ」と送り出された。

 思いを背負った鍬原投手は大学で成長を遂げた。3年生秋から先発に定着し、リーグ通算11勝。今月観戦に訪れた佐代子さんに勝利球を贈った。「プロで活躍して家と車を買ってあげる」と母に約束したのは中学3年のとき。孝行息子は1位指名を受け、こう言った。「これからやっと親孝行ができる」―。

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