泉 俊昌 福井総合病院副院長

 【質問】1年前にレベル3の乳がんになり、リンパ、乳房切除術を受けました。半年間の抗がん剤点滴終了後に処方された抗がん剤(ユーエフティ抗がん剤、フルツロンカプセル200)の副作用がひどく体に合いません。飲まないと再発が心配ですが、体が受け付けない場合、どのような対処法があるのでしょうか? また他に薬などはあるのでしょうか?(美浜町、51歳女性)

 【回答】文面からステージ3(レベル3ではなく)の乳がんで、乳房と脇の下のリンパ節切除術を受けられた状態と推察します。乳がんの進行度はステージ1からステージ4に分類されます。

 ステージ3とは、局所進行乳がんであり、リンパ節転移を伴うことが多く、全国がんセンター協議会が発表している5年生存率は67%です。つまり、ステージ3の乳がんでは、がんが全部切除できたと思われる場合でもどこかに微小な転移が残っており、約3分の1の確率で再発するということです。

 術後、再発を少しでも減らすには、残存している可能性のある微小転移に対して、何らかの治療が必要です。術後の薬物療法には、主に抗がん剤治療とホルモン療法があります。切除された乳がんの病理組織検査、リンパ節転移の有無、エストロゲンホルモンに対する感受性の有無などより、高リスク群、中リスク群、低リスク群に分類され、抗がん剤治療やホルモン療法の必要性が選択されます。

 ご質問の方は、まず半年間抗がん剤の点滴治療を行い、その後、内服のフッ化ピリミジン系抗がん剤(ユーエフティやフルツロン)に移行しているようです。

 私たちが診療の参考にするものに「乳癌(がん)診療ガイドライン」があります。ガイドラインによると「術後化学療法において6か月以上の長期化学療法の必要性は明らかでない」とされています。また「内服のフッ化ピリミジン系薬剤は、無治療よりも有効である可能性は高いが、まだ標準治療とはなっておらず推奨されない」となっています。

 どうしても内服の抗がん剤を継続しなければ、再発が多くなるという根拠は少ないように思います。現時点で明らかな再発所見がなく再発予防のための投与であり、副作用のため継続がつらいのであれば内服の抗がん剤はいったん終了しても良いように思います。

 また、エストロゲンホルモンに対する感受性がある乳がんであるならば、ホルモン療法に移行するのも一つの方法と思います。一般的にホルモン療法は抗がん剤より副作用が少なく、長期の投与が可能な場合が多いようです。

 いずれにしても切除された乳がんの進行度、病理組織検査、ホルモン感受性の有無、現時点での再発の有無などが重要な判断材料になります。主治医の先生と相談してください。

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