宮下洋亮 県立病院 眼科医長

 【質問】5歳女児の視力のことで相談します。先日、子どもの目が充血し眼科で診ていただいたところ遠視の可能性があると言われました。治療などはしていませんが、子どもが遠視になることはあるのでしょうか? 日常生活で問題はあるのか気になります。また今後、目の矯正が必要なのでしょうか?(坂井市、35歳女性)

 【回答】外から目に入る光は、角膜や水晶体による屈折の働きで網膜に焦点が合うように調節されています。網膜に外の景色がきれいに投影されることによって、はっきりとものを見ることができ、この状態を正視といいます。

 遠視では焦点が網膜の後方にずれており、いわゆる「ピンぼけ」の状態になっています。遠視が強度の場合には遠くのものも近くのものもはっきり見ることができません。

 治療を受けずに放置すると子どもの目が正常に発達できないため、眼鏡をかけても視力がでない「弱視」になってしまいます。弱視の治療は子どもの間にしかできないので注意が必要です。

 目にはある程度の焦点のずれを補正する調節力があります。遠視のためこの調節力に常に負荷がかかっていると、目が内側に寄る「内斜視(ないしゃし)」になることがあります。内斜視になると両目で一つのものを見ることができないため、遠近感や立体感が分かりにくいなどの影響をきたします。また、外見上も問題になることがあります。

 子どもは焦点のずれを補正する調節力が大きいため、通常の検査では遠視の度数を判断しにくいことがあります。遠視が疑われる場合には調節をまひさせる目薬を用いて検査をします。

 新生児の多くは遠視であり、成長とともに遠視が軽くなり正視になる傾向があります。一度の検査では子どもが緊張したり集中力が続かなかったりして正確な検査ができませんので、焦らず根気よく検査をする必要があります。

 検査の結果、遠視がごく軽度の場合には調節力で補正できるため視力に影響がないことがあります。目が疲れやすく頭痛を訴える、読書など細かい作業の集中力が続かないなどの症状がなければ、経過をみてもよいでしょう。

 しかし、ある程度以上の遠視がある場合には適切な眼鏡をかけることが大切です。眼鏡をかけることによって網膜に焦点が合うようになり、目の発達を促して弱視の治療をすることができます。また、調節力への負荷がなくなるため内斜視も良くなることがあります。

 ただし、小さい子どものころから眼鏡をかけることは、本人にとって大きな負担になることがあります。心のケアをしてあげることも大切でしょう。

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