小松 和人福井赤十字病院腎臓・泌尿器科部長

 【質問】血液検査でクレアチニンが異常に高く調べてもらったところ「後腹膜線維症」と診断されました。ステロイド系のプラトニンを服用しましたが、特に病状に変化はありませんでした。血尿などはなく仕事は普通にしていますが、後腹膜(こうふくまく)線維症にはどのような治療があり、放置した場合どうなるのでしょうか?(若狭町、69歳男性)

 【回答】「腎臓」(尿を作る工場)と「膀胱(ぼうこう)」(尿を一時的にためて、体外に排出する器官)をつなぐ尿の通路を「尿管」と言います。左右2本のことが多いのですが、直径はおおよそ数ミリで、長さは25センチ程度です。
 たとえば尿管に石(結石)が詰まる尿管結石という、痛い病気がありますね。この尿管の周りが線維(筋張った組織のこと)組織で取り囲まれ、尿管の中を尿がうまく流れなくなるとどうなるでしょうか?腎臓が腫れてきて「水腎症」という状態になります。腎臓が腫れるだけでなく、腎臓に負担がかかり最終的に腎臓の機能が悪くなってきます。
 腎臓の働きを簡便に表すのが血液中の「クレアチニン」です。この値が高いことは腎臓の機能が悪いことを意味します。尿管は後腹膜腔という場所を通っていますので、この場所がさまざまな原因で線維化を起こし、尿が流れにくくなり、腎臓に負担がかかる状態を「後腹膜線維化症」と呼んでいます。
 原因不明な場合が多いですが、血管の炎症や、悪性腫瘍の影響などが原因として挙げられます。腎臓に負担がかかり、腎臓に感染が起きれば、発熱などの症状が出ることがありますが、感染もなく少しずつ進行している場合には症状がありません。
 ご質問の方のようにクレアチニンが異常に高いことで偶然見つかり、調べてみたら後腹膜線維化症であったということもしばしばあります。放置すると、最終的には腎機能がなくなり、腎不全、尿毒症になりますので生命の危機となりかねません。治療と治療後の厳重な経過観察が絶対に必要です。
 線維化を改善するために「ステロイド」という系統のお薬が有効なことがしばしばあります。また、尿管の中に細い柔らかい管(尿管ステント)を通して、腎臓の働きの保護も行います。手術をして、尿管の走行を変え、線維化を起こさないようにすることもあります。
 当病院では後腹膜線維化症に対して、泌尿器科、腎臓内科、リウマチ膠原(こうげん)病内科といういくつかの専門領域の医師が共同で診療にあたっております。後腹膜線維化症をきっかけにほかの部位にも病気が見つかることがありますので、このような多方面からのアプローチが重要になっています。

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