晩年まで作陶への情熱を燃やし続けた木村盛和さん=2012年3月

 妻が福井県出身だった縁で76年、越前町佐々生に九つの窯を備える巨大工房を築いてからは、研究に拍車が掛かった。大野市の中竜鉱山をはじめ全国20府県をくまなく歩き、岩石や鉱石を採取。晩年までろくろ成形、窯焚きを繰り返し、釉薬の性質を調べるテストピースは1度の試験で数百種類に及んだ。その情熱の最後の結晶がエメラルドを微粒子状にした釉薬を使った「エメラルド釉窯変結晶茶盌」だ。

 茶わんの中にくっきりとした四角や丸の結晶が無数に浮かび、虹色の輝きを放つ。窯の温度はもとより、釉薬の量や気温、湿度などの条件が重なり、釉薬が窯の中で結晶に変化する瞬間を捉えた神秘の輝き。90歳を超えて、新たな扉を開こうとしていた。佐々木さんは「作家というよりも研究者、仕事というよりも趣味のように作陶を愛した人。最晩年まで新しいものを求めて前へ進み続けた情熱、その生きる姿勢にこそ私たちは学ぶべき」と力を込めた。

 9月18日まで(最終日以外の月曜休館)。一般300円、高校生以下無料。県陶芸館=電話0778(32)2174。

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