木村 有一 福井大医学部耳鼻咽喉科講師

 【質問】慢性甲状腺炎と最近診断されました。ホルモンは高めの数値ですが、薬はまだ服用しなくていいと医師から言われました。特に食べ物や飲み物も制限はしていません。ただ、めまいがひどく体にだるさがあり、甲状腺の部分を触ると痛みを感じます。このまま経過観察していいのでしょうか? また治療するとしたらどのような治療が今後考えられますか?(坂井市、26歳女性)

 【回答】慢性甲状腺炎は甲状腺における自己免疫疾患の一種で女性に圧倒的に多い病気です。

 本来は外部から入り込んだ異物に対して起きる免疫反応が、自分の甲状腺の細胞に対して起きて甲状腺の細胞が壊されていき、徐々に甲状腺の働きが低下していきます。

 炎症といっても、何年もかかってゆっくりおきますので、通常痛みや発熱がおこることはありません。甲状腺は全体に腫れて硬くなりますが、大きさは人によってさまざまであり、よほど大きくならない限りのどの圧迫感や違和感を生じるようなことはありません。

 診断は採血によって甲状腺に対する自己抗体と甲状腺ホルモンの測定によって行います。また甲状腺が大きい場合は腫瘍性疾患を除外しておくことも兼ねて、超音波断層検査を行います。慢性甲状腺炎と診断されても甲状腺機能が正常で、とくに自覚症状もなければ治療の必要はありません。

 しかし、甲状腺機能が低下してくると、全身のだるさ、むくみ、便秘、気力の低下、寒がり、眠気といった症状がでてくることがあります。したがって採血をして甲状腺ホルモンの量が不足していることがわかれば、不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用します。単に不足している量の甲状腺ホルモンを薬として補充しているだけですので、日常生活は運動、仕事など何でもできます。

 食事については、ヨードを含む昆布など海藻を大量に食べ続けると甲状腺の機能を抑えることもありますが、そうでなければ通常の食事の範囲の海藻を控える必要はありません。

 質問者の場合、慢性甲状腺炎と診断され、現在はホルモンは高めの数値で甲状腺を触ると痛みを感じるということですので、一時的に炎症が悪化して細胞内にある甲状腺ホルモンが血液内に大量に放出され、一過性にホルモンが高めになっている可能性が考えられます。

 また甲状腺ホルモンが高くなる病気にはバセドウ病やプランマー病という病気もあり、その場合、動機・頻脈・体重減少などさまざまな症状がでてきます。甲状腺ホルモンの異常はさまざまな症状が生じるので、一度専門医にご相談ください。

関連記事