中川雄仁 福井赤十字病院皮膚科医師

 【質問】全身に赤いカサカサがあり乾癬(かんせん)と診断されました。飲み薬と塗り薬を併用していますが、症状は一進一退の状況です。最近、生物学的製剤が新薬として治療に使用されているそうですが、適用条件、良い点や悪い点はどのようなものでしょうか? また何回程度使えば治るのでしょうか。
(福井市、36歳男性)

 【回答】「乾癬」は、全身のいろいろな場所に、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に銀白色の“かさぶた”のようなものができて、ポロポロとはがれ落ちる皮膚病です。

 皮膚症状のほか、関節の痛みや変形、発熱や倦怠(けんたい)感などの全身症状が起きることもあります。質問の飲み薬というのは、抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)ではないでしょうか?

 乾癬は必ずしもかゆくはありませんが、引っ掻(か)くと悪化する性質(これを「ケブネル現象」といいます)があるため、かゆみがあるとよく併用される薬です。

 乾癬の治療には、四つの柱があります。外用療法(塗り薬)、光線療法(紫外線)、内服療法(飲み薬)、そして、今回のテーマの「生物学的製剤」です。患者さんの症状や希望、年齢や持病、ライフスタイルなどを考慮しながら、これらを組み合わせて治療しています。

 治療の基本は外用ですが、範囲が広くなると塗るのもなかなか大変になってきますので、別の治療法の追加を考えます。生物学的製剤は非常に高い効果がありますが、他治療では十分な効果が得られなかった方が対象ですので、質問の場合であれば、まず光線や内服の追加を検討することになるでしょう。ただし、関節痛がある場合は例外で、早期から使用されるケースが増えてきています。

 まず、生物学的製剤の良い点ですが、従来の治療が効かなかった方でも効果が期待できます。持病や副作用があって今まで十分な治療ができなかった方も、使えれば効果が期待できるでしょう。

 一方、悪い点ですが、免疫の働きを抑えることになりますので、さまざまな感染症に注意が必要になってきます。費用もこれまでの治療よりは高額になるでしょう。従来の治療とは異なり、乾癬で用いられる生物学的製剤は“炎症の親玉”であるTNFαという体内物質を直接ターゲットにしていますが、残念ながら“治る”という治療法ではありませんので、皮膚がきれいになった場合でも原則として定期的に継続していく必要があります。なお、生物学的製剤の対象となった場合は、副作用をなるべく避けるため使用前に問診といくつかの検査が必要です。

 お話ししてきた通り、生物学的製剤には副作用の危険性があり、費用の問題もあります。しかし、これまでの治療では十分な効果がなくあきらめていた患者さんにとって、大きな福音となりうることは間違いありません。乾癬の治療でお悩みの方は、一度専門医にご相談されてみてはいかがでしょうか。

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