ヤマウチマテックスが提供しているチタン製のベベルギア。少しでも軽量化するため、両側のギアの不要な歯は取り除かれている

ハクトの月面探査車。ベベルギアは機体内部にあり、車軸をつないでいる(ハクト提供)

 ただ、同社にはギア製造の経験がなく、製造部開発グループリーダーの藤田和久さんは「ギアを知ることから始めたので苦労した」と振り返る。高性能の金属3Dプリンターを使い、半年間かけ約50個の試作品を作った。

 探査車の打ち上げ費用は、ロケットに載せる機体などの重量に比例する。そのためハクトは、設計段階から軽量化を重視した。ヤマウチマテックスが参加するまでは鉄製のギアを使用しており、重量は1個約16グラムあった。藤田さんはハクト側と話し合いながら、素材をチタンにしたり、ギアの不要な歯をなくしたりと工夫を重ね、6グラムまで軽くした。3個で30グラム軽くなった。

 探査車は国内での最終試験を経て、8月にインドに輸送。インドチームの月着陸船に相乗りし、12月28日にロケットに搭載して打ち上げる予定。同社は探査車のギア製造を足掛かりに、航空宇宙産業への参入を目指す。福岡さんは「チタンは航空宇宙分野でよく使われる素材。探査車に関わった経験を生かしたい」と意欲を見せている。

 ■HAKUTO(ハクト) 月の模様にちなんだ白兎(しろうさぎ)の音読みが由来で、2010年に結成した。リーダーは宇宙ベンチャー「ispace」の袴田武史代表で、メンバーは約100人。今年2月、探査車の名前を約3万7千通の応募を基に「SORATO(ソラト)」と命名した。
 

関連記事