川原 英夫 国立病院機構福井病院 整形外科医長

 【質問】最近よく膝(ひざ)に水がたまり、正座しにくく痛みがあるため、整形外科を受診したところ、膝の水を抜きました。よく膝の水を抜くと癖になると聞きますが、本当でしょうか。抜かない方がいいのでしょうか。また、最近テレビなどでよく耳にするコンドロイチンやグルコサミン、ヒアルロン酸などのサプリメントは、効果があるのでしょうか。(敦賀市、54歳女性)

 【回答】膝の水(=関節液)は、関節の滑りをよくする潤滑油の働きをするとともに、関節の軟骨に栄養を与える役目をしており、通常数㏄程度です。これは、関節を包んでいる袋(=関節包)の中にある滑膜(かつまく)という組織で作られます。関節に炎症が起きると、この滑膜で関節液が大量に作られ、水がたまった状態になり、膝を曲げる際に痛みを感じるようになります。

 膝に水がたまる原因として、関節の表面を覆っている関節軟骨がすり減ってしまった変形性膝関節症や関節リウマチ、スポーツに伴い、膝のクッションの役割をしている半月板(はんげつばん)の損傷、膝に菌が入って炎症を来した化膿(かのう)性関節炎、太った男性に多い痛風など、たくさんあります。

 病院で膝の水を抜くのは、たまった水を抜いて痛みを和らげるためだけではなく、抜いた水の色やにごり、粘り気をみることで、膝の中で何が起きているのかを診断するのに役立ちます。

 正常な関節液は、無色から淡い黄色で、若干の粘り気がありますが、赤い血液が混じっている場合には、半月板などの外傷を疑い、白く濁り膝が赤く腫れて熱っぽい場合には、感染を疑ったりするのです。そうした原因を見抜いて、適切な治療が行われなければ、また水がたまることになり、癖になると感じるのでしょう。

 こうした関節の専門家が整形外科医です。水がたまる原因をきちんと見極めた上で▽関節軟骨を保護し、膝を動かしやすくする働きのあるヒアルロン酸を関節内に注射▽▽消炎鎮痛剤内服や湿布による炎症抑制▽膝を支える大事な働きをする、太ももの前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の筋力をつけ、関節の安定化▽体重の重い方の減量、和式トイレや正座など膝に負担のかかる生活様式を改める-ことなどが大事です。それでも、治療に半年以上かかることもあり、根気強く治療することが必要です。

 また最近、膝関節痛で注目されているコンドロイチンやグルコサミン、ヒアルロン酸などのサプリメントは、毎日のようにテレビや通信販売などで宣伝されています。軟骨を再生したり、弾力性や滑らかさを向上させたりなどと、いろんな効能をうたっておりますが、現在のところはっきりとした科学的根拠や臨床効果が明らかにされていないというのが実情です。

 わらをもすがる思いで購入される方もいらっしゃいますが、非常に高価なものもありますので、慎重になられることをお勧め致します。まずは、整形外科専門医を受診され、ご相談なさってはいかがでしょうか。

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