平井 隆 福井赤十字病院 呼吸器外科部長

【質問】
 10月のたばこの値上げをきっかけに禁煙に挑戦しています。禁煙を始めてから日中、異常な眠気に襲われます。喫煙中は感じなかった症状で、日によって差はあるものの、ひどいときにはいすに座ったまま居眠りをしてしまうほどです。この症状は禁煙ではよくあるもので、時間がたてば解消するものなのでしょうか?

 1日あたり20本(1箱)吸っていたものを急にやめたやり方がいけなかったのでしょうか?
(福井市、30歳男性)

【回答】
 たばこの値上げをきっかけに禁煙にチャレンジされているとのことですが非常にすばらしいことです。

 たばこには4千種類以上の有害物質が含まれニコチン、タール、一酸化炭素が3大有害物質といわれています。このうちニコチンは、麻薬やアルコールと同様に強い依存症を作り出す薬物です。禁煙が難しいのは「ニコチン依存症」という病気があるためと、長年の習慣のために心理的に依存するためであるといわれています。

 相談者の方は、20歳から吸い始めたとすると20本×約10年の喫煙習慣があり、しかも「ニコチンの依存度」が高い方だと思われます。

 たばこを吸わなくなりニコチンが切れてくると、「ニコチン離脱症状」という不快な症状が出てきます。▽タバコが吸いたくてたまらない▽ちょっとしたことで怒りっぽくなる▽不安になったり後悔したり、特に理由も無く寂しくなったりする▽イライラしたり仕事の能率が落ちたり集中が困難になる▽落ち着きがなくなる▽昼間の眠気と夜間の睡眠異常をおこす▽頑固な便秘になる-などさまざまな離脱症状が出ることがあります。

 さて相談者の方は禁煙を始めてから昼間に異常な眠気があるとのことですが、これはニコチン離脱症状の一つです。禁煙すると昼間のしつこい眠気や早朝に目覚めるなどの睡眠異常がしばしば起こります。離脱症状は、時間がたてば少しずつ和らいでいきますが、その前に我慢できなくなり、つい喫煙を再開してしまうことが多いです。

 現在、薬に頼らず独力で禁煙にチャレンジされているようですが、離脱症状のために禁煙の継続が困難になってきていると思われます。たばこの本数を少しずつ減らしていく方法は、すぐに本数が元に戻ってしまい、実は禁煙の継続が困難です。医師の禁煙指導をうけながら断煙するのが最も効果的な方法です。

 ニコチンの置換療法(ニコチンパッチ)や経口禁煙補助薬バニクレイン(商品名チャンピックス)などの処方をうけることにより、ニコチンの離脱症状が和らげられ、禁煙が継続しやすくなり禁煙の成功率が高まります。

 最寄りの禁煙外来で禁煙指導を受けられることをお勧めします。ご自分の健康のためにも周囲の方の健康のためにも、ぜひとも禁煙を継続してください。

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