木下 英荘 福井総合クリニック 歯科・歯科口腔外科医長

 【質問】1年前から硬いものをかんだり、あくびをするとき、耳の下あたりが痛くなってきました。現在のところ、ものをかんだときに音などはしませんが、これは顎(がく)関節症なのでしょうか? 心配になっています。このまま放置した場合、悪化するのでしょうか? もし治療をするとすれば、どのようなタイミングで治療するべきなのでしょうか。(敦賀市、22歳女性)

 【回答】顎関節は下顎頭(下顎骨の後上方の突起)とそれを受ける頭の骨のくぼみ(関節窩(か))で形成され、左右の外耳孔の前方にあります。

 あくびなど大きな口を開ける時は、下顎の骨全体が回転しながら前方に移動しています。よって、指先を両耳の前方にあて開閉口して下顎を動かすことで位置を確認することができます。

 もう少し詳しく説明すると、左右のあごの筋肉や腱(けん)がお互いに調和して機能するとこで、関節窩のなかで下顎頭がスムーズに移動し複雑な口の動きが可能となっています。また、関節窩と下顎頭の間にはクッションの役割を果たす関節円板が介在しスムーズなあごの動きをさらに助けています。

 そこで、顎関節症ですが、顎関節付近や咀嚼(そしゃく)筋《咬(か)む時に使う筋肉》の痛み、開閉口する時に関節から音(関節円板が偏位しているため)がする、開閉口がスムーズにできないなどを主症状とする疾患です。前述のように顎関節は複雑な構造になっており、その痛みを発生させる異常がどの部位《咀嚼筋、靭帯(じんたい)、関節円板、骨》にあるかにより、いくつかのタイプに分類されます。

 ご相談では、硬いものをかんだとき、あくびをするときに耳の下あたりに痛みを自覚されるようですが、これは顎関節症の症状のなかに含まれます。かんだときに音はしないとのことで、関節円板の位置の偏位まではないようです。

 治療法ですが、関節円板の負担を軽減する目的でマウスピースの使用、咀嚼筋の安静を目的に低周波の電気刺激治療や筋弛緩(しかん)薬の内服などがあります。骨の形態異常が認められたり、ほとんど口を開けることができない場合は手術の適応になることもあります。

 まれに、歯の痛み(むし歯、歯周病)や親知らずに起因する痛みをあごの痛みとして感じてしまうケースや、症状が悪化し開口障害や我慢できない痛みがでるケースもあります。また、顎関節症は、習癖(歯ぎしり、片側咀嚼など)やかみ合わせの変化、ストレスが関連することもありますので、お早めに専門医にご相談いただくことをおすすめいたします。

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