■土いじりをしながら大声を上げる

女性の労働という経験が鷗友の教育の出発点

 「ヨトウムシのほかにもカブラバチの幼虫なども付いているかもしれません。見つけたらコイの餌にしてください」

 隣のクラスの野菜に被害が及ばないようにするためだ。実習園の横には池があり、大きなコイが悠々と泳いでいる。

 講義室から実習園に移動して収穫を始める。

 「きゃー、ムシー!」

 実習園の至る所で悲鳴とも喚声とも区別のつかない声が上がる。

 「先生これは何ですか?」

 「ああ、それはアオムシの糞(ふん)ね」

 「えー、キモいー!」

 「洗えばきれいになるから大丈夫」

 摘み取った葉っぱにはときどきアオムシが付いているので、虫が苦手な生徒はおっかなびっくり。指示どおりコイの餌にする。アオムシを池に放り入れると、コイがそれをバクリとひとのみにする。その様子を見て生徒たちはまた喚声を上げる。

 よく見れば、本当にムシが怖くて騒いでいるわけではなく、それに便乗してここぞとばかりに大声を上げている生徒のほうが多いことがわかる。一見、文学少女のように見える生徒が、案外平気でムシをつまんで黙々と収穫していたりするのがこれまた面白い。

 なんとかアオムシと泥を払い、新聞紙にくるむ。1人当たり10把ほど収穫できただろうか。害虫に食べられ、水菜のようになってしまった葉っぱもある。

 「これ、食べるところないじゃん」

 生徒の1人がつぶやく。

 「こまかく刻んで餃子にすれば全部食べられるよ!」

 別の生徒が明るくアドバイスする。

 「農家の苦労がわかった?」

 佐藤先生が尋ねる。

 「わかりました!」