木村哲也・福井大医学部救急部長

 【質問】3年くらい前から「しゃっくり」が出るようになり、止まらなくなります。2~4日くらいで止まりますが、またすぐ始まります。腹部が激しく波打つようにけいれんし、息を吸うことも吐くことも声を出すこともできなくなり、そのまま窒息するのではと思うこともあり、毎日が不安です。
(坂井市、61歳男性)

 【回答】昔から「しゃっくりが100回続くと死ぬ」という言い伝えがあります。しゃっくりが100回続いて死ぬということはありませんが、それほどまでに辛いということでしょう。ギネスブックには、68年間しゃっくりが続いたというアメリカ人男性の記録が残されています。
 しゃっくりは「吃逆(きつぎゃく)」ともいい、横隔膜のけいれんによって引き起こされます。多くは、食べ過ぎなどによる一時的なもので、ほとんどは自然に止まりますが、大事な場面で突然しゃっくりが出だしたりするのも困りものです。
 世界中の人がしゃっくりには悩まされるようで、さまざまな治療法が広く行われています。例えば「冷たい水を一気に飲む」「舌を30秒ほど強く引っ張る」「スプーンでのどを刺激する」などがあります。
 これらはのどを直接刺激することや呼吸運動に変化を与えることでしゃっくりを抑えようとするものです。さらに、病院では抗けいれん剤や漢方薬などを処方したりもします。また、ビールや炭酸飲料の飲み過ぎや、食事のスピードが早いと、胃が過伸展し、しゃっくりを起こしやすくします。肥満や便秘もしゃっくりの誘因となります。もしそれらにお心当たりがあるようでしたら、生活習慣の改善も大切になります。
 それらの方法でもなかなか止まらない場合には注意が必要です。特に、睡眠中もしゃっくりが止まらず、48時間以上続くものは「難治性」とされ、なんらかの病気が潜んでいる可能性があります。持続するしゃっくりは、原因部位により大きく三つに分けられます。
 「中枢性しゃっくり」は脳腫瘍(しゅよう)や脳卒中など、脳に原因のあるもので、非常に止まりにくいのが特徴です。「横隔膜性しゃっくり」は横隔膜やそれにつながる神経が刺激されることで出現し、原因として胃の過伸展の他、肺炎や肝臓・肺・食道腫瘍などがあります。「全身病性のしゃっくり」では糖尿病や尿毒症、アルコールなどの薬物の他に、心因性のものも原因となります。
 さて、今回ご相談のしゃっくりの場合ですが、2~4日も止まらないのであれば「難治性」の可能性もありますので、病院の内科を受診して診察と検査を受けた方が良いでしょう。その際には、ご家族に睡眠中の様子を観察してもらうことが診断の手助けになります。

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