“人生には無駄なことはなにもない”ということですので、そうしたことを悟るまでのその行程もあなたにとっては必要だということになるのでしょう。

毎日何の変哲もない、同じことの繰り返しのようにしか思えない“育児や家事”は、実際には実に大変なことです。それ故におろそかにしていいことでは決してないのです。

夫が外に出て働き、妻が家庭にあって家事や育児に当たってきたこれまでの家庭であれば、夫に家事や育児の協力を求めるなどは持ってのほかということになるのかもしれません。

しかし、夫婦が共に「共働き」として外で働くことが多い今日、“育児や家事”においての夫婦の協力は当然のことと思います。

◆親であるという自覚

保育所という立場に長らく身を置いてきた立場からも、特にその子どもの育ちにおいて、夫婦がお互いによく相手の言い分に耳を傾け、相手の立場を思いやり、協力し合うということは非常に大切なことです。そしてそうした姿を子どもが見て育つということも。

しかし、そうした理想的な親であることなかなか難しいことです。そして、いろいろな面において随分緩和されてきている今日といえど、実際には家事、育児における女性の負担はまだまだ重いようです。

両者がそろって協力的に家事や育児にかかわることが理想なのですが、たとえそうした理想から遠くかけ離れていたとしても、親になった以上は思うようにならないといって相手に対して捨て鉢になったり、自暴自棄になったりすることなく、「私は子どもたちの親なのだ」という親としての自覚を決して忘れずにいていただきたいのです。

どんなに自制心のある人であっても、相手を目の前にした毎日の生活の中では、つい相手に対する期待から、気持ちが苛立ったり、引いてしまうことなどよくあることですよね。

でもこうしたときにこそ思い出してください。お子さんのことを!

“どんな子でも、子どもは宝です”。真心こめて子どもの育ちに向き合ってください。

一人の人間や夫婦である前に“親であること”に立ち戻ってください。そこに立ち戻って “心を平静に保つこと”。その “平静さ”のなかでお子さんのために歩を進めてください。

たとえひるんだり、くじけそうになったときがあっても何度でもまたおもい直して立ち上がってください。

そして“前向きに”、“建設的に”“正しいと思うこと”をお子さんのために進めていってください。

子どもたちはよく見ているものです。親のすることを。親にしてもらったことを。そして子どもは成長していっているものです。ですからその実りは必ず与えられるものです。その子どもたちの成長があかしとなって。

このことを決して忘れないでください。

◆子どもたちの成長

夏休みに入って毎日お子さんたちと過ごす生活はいかがですか? 休みが始まったばかりの間は少々は辛抱できるが、これからの長い夏休みをおもうと親としては早く幼稚園や学校が始まってくれないかなあとおもうものです。

ところが子どもたちと過ごした日々の積み重ねが、思いがけず後押しをしてくれる日が来るのです。

この‘うんちく’を書かせていただき始めた頃には、台所に立つと、必ず台所の窓の下においてあるコートかけにちょこんと腰掛けて台所での私の仕事ぶりを窓の外から興味深げに見ていたり、台所に椅子を持ち込んで椅子の上に立って見ていたりしたまだ小さかった孫たちの3っつの顔。ときには私を真似て知らぬ間に糠床に手を入れてかきまぜるなどムムム・・・とおもういたずらも随分とされたものですが。

それが、今はこの狭い台所に一緒に立っているのです。‘僕焼き玄米おにぎりを作りたいから自分で玄米ご飯を炊くから一緒に教えて’とか、切るのが好きな子はレタスを洗って、きゅうりやトマトを切って、‘ああっ、わかめを入れないと’と言って冷蔵庫からわかめを出してサラダを作ってくれたり、朝の呉汁(福井特有の生大豆粉で作る味噌汁)作りの傍らで、ふきこぼれそうなとき、さっと打ち水を用意したり、味噌を出してきてくれたり、そして私の口真似をして‘おなべの中で豆腐ができた。おぼろ豆腐汁だ’とその鍋をのぞいて、そのふわっとかたまっていく変化に興味を持ったりと、これまでの生活の中で‘何気なく’、そして‘意識的に’毎日繰り返してきたことを自然と体で覚えてさっと手伝ってくれるのです。毎日の同じ手順の繰り返しの中で育まれたものが、何気ない孫たちの行動の中におもいがけないときに見出され、気づかされることも多くなりました。

まだまだ大変なことも多い日々ですが“成長したなあ!”というおもいが、ぐーんと私の背中を押してくれるのです。私を元気にしてくれるのです。

子どもと過ごす日々は、まだ先が見えないときは不安におもうことも多々あるかもしれません。しかし、日々の何気ない繰り返し、その積み重ねに、ある日突然気付かされる日が来るのです。

そうした意味で夏休みはお子さんと共に過ごせる貴重な日々でもあるのです。そうした夏休みの一日一日をお子さんの好ましい成長につながる有意義な日々となるよう楽しみながら心配りして重ねていってあげてください。

次回では、さらに保育士として遭遇した心にかかるケースなどについて触れてみたいと思います。