熊本 優子 福井総合クリニック・眼科医長

 【質問】高校2年生の息子は、左目の黒目が外側にずれ斜視のようです。視力は右が1・2に対し左が0・7です。生活上は支障はない様子ですが、周囲の友達から斜視を指摘されているようで気にしているようです。治療をすべきかどうか迷っていますが、どうすればよいでしょうか。このまま放置した場合、新たな視力障害を併発することはないのか心配です。
(福井市、52歳女性)

 【回答】斜視とは、物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態をいいます。
 片目が正常な位置にあるときに、もう片目が内側に向いてしまっている状態を内斜視、外側に向いてしまっている状態を外斜視、上側に向いてしまっている状態を上斜視、下側に向いてしまっている状態を下斜視といいます。

 今回のご相談は外斜視のようですが、外斜視は大きく、恒常性外斜視(常に斜視が存在する場合)と、間歇(かんけつ)性外斜視(ときどき斜視の状態になる場合)に分けられます。大部分は真っすぐ(正位)のときと外斜視のときがある間歇性外斜視です。

 大人では、集中すると目が真っすぐになるのに、油断をすると目が外を向く患者さんがおられます。このような患者さんは子どものときには目が疲れなくても大人になると視線を合わせるのに疲れを感じ、肩凝りや頭痛の原因になることがあります。さらに「ものが二重にダブって見える(複視)」ことがあり、日常生活に支障を来すこともあります。

 斜視の原因としては、目を動かす筋肉や神経の異常、遠視、目の病気、脳の病気によるものや、全身の病気に伴うものなどがあります。多くは目を動かす筋肉や神経の異常や遠視によるものです。斜視の原因を探るために、全身検査やMRI検査を行うこともあります。今回の場合、斜視がいつから発症したか不明ですが、子どものころからであれば、新たな視力障害が生じる可能性は低いと思います。最近になって出現したものであれば、一度眼科受診し、原因の検索をされるのが良いと思います。

 斜視の治療は、斜視の種類や年齢に応じて異なります。成人の場合、恒常性外斜視は整容上の眼位矯正を目的に手術が行われます。間歇性外斜視は程度により経過観察されますが、外斜視となる頻度の増加、斜視角が大きい(ずれの程度が大きい)、自覚症状(眼精疲労、複視など)が出現する場合などは手術の適応となります。程度が軽い場合、症状軽減のために、プリズム眼鏡を装用することもあります。

 乳幼児では、弱視(眼鏡をかけても視力が上がらない状態)や両眼視機能(両方の目で見たものを、脳で一つの像にまとめる機能)に影響を及ぼすため、早期発見・早期治療(手術、屈折矯正、遮へい法、プリズム眼鏡など)が原則となります。

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