堀川利之・県済生会病院耳鼻咽喉科医長

 【質問】 現在妊娠6カ月です。最近、鼻水が出る、目がかゆいなど花粉症の症状が出てきました。市販の点鼻薬スプレーや花粉症用の目薬を使っていますが、妊娠中でも使用していいものでしょうか? 妊娠期の花粉症対策としてのアドバイス、軽減策があれば教えてください。また、生まれてくる子どもにも花粉症は遺伝するものなのか気になっています。(福井市、32歳女性)

 【回答】今や国民病といわれる花粉症は、日本人の5人に1人が罹患(りかん)しているといわれています。
 花粉症は医学的な意味で遺伝するものではありません。親が花粉症の場合、子どもも花粉症になりやすい傾向にはありますが、両親ともに花粉症でも子どもは花粉症でないこともあります。

 妊娠期の第一の花粉症対策は、花粉を避けることです。マスク、メガネ、手洗い、こまめな掃除、洗濯物を外に干さない、花粉飛散の多い日は外出を控える、などの対応が普段以上に重要です。

 とはいえ、完全に花粉を避けることは困難でしょう。自宅でできる対症療法としては、お湯の蒸気を一日数回、数分ずつ鼻で吸入する温熱療法が挙げられます。健康的な生活を心掛けることも大事です。

 重症の花粉症で妊娠が予想される人は、事前にレーザー照射を受けておくなどの方法もあります。

 ご質問にありました、市販の点鼻薬や目薬を使用することはおすすめできません。市販品にもさまざまなものがあり、適切な使用がなされていないことが多くみられます。またその多くに血管収縮薬が含まれ、リバウンドで症状を悪化させることがあります。

 セルフケアで症状が治まらないときは、医師に相談するのが最良の方法でしょう。妊娠6カ月であれば、医師の指示、処方のもとでの点鼻、点眼、内服薬の使用が可能です。ただ多種のアレルギーの薬には、効果や副作用、妊娠中の安全性にさまざまな違いがあり、また妊娠週数を考えて使用することが特に重要となります。

 薬を使わなければ副作用の心配はない半面、ひどい症状がかえって妊娠に悪影響を及ぼしかねないと考えられる場合もあります。したがって妊娠中の治療選択には、普段以上に医師の判断が必要になると言えます。

 耳鼻科医にとって一番の治療の判断材料は、鼻内所見(鼻の奥の状態)の観察です。この狭い空間を額帯鏡、ヘッドライトやファイバースコープを使って観察し、症状を聞いた上で適切な方法を提案していきます。ある妊婦さんには生活指導のみであり、また別の妊婦さんには薬を処方することもあります。

 一人で悩んで市販薬に頼るより、正しい知識を持ち、鼻の正確な診察のできる耳鼻咽喉(じびいんこう)科専門医に相談し、アドバイスや治療を受けることをおすすめします。

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