植野高章福井大医学部歯科口腔外科准教授

 【質問】7~8年前から、歯茎が縮んで歯の根っこの部分までむき出しになりました。くさび型欠損という状態となり、冷水や砂糖、塩がしみます。歯茎は腫(は)れも出血もなく、色も健康に近いと思います。むき出しになった歯のへこんだ部分は茶色に変色し見た目が悪く、年齢を重ねると歯が抜け落ちないか心配です。進行させないために気をつけること、高脂血症の治療中ですが内科的な病気が潜んでいないか教えてください。 (若狭町、42歳女性)

 【回答】歯は、解剖学的にエナメル質、象牙質、セメント質と呼ばれる硬い組織で、神経や血管からなる歯髄といわれる組織を取り囲んでできています。歯茎(歯肉)から下にある埋まっている部分を歯根、歯茎から上に出ている部分を歯冠として分けています。エナメル質は歯冠を覆い非常に硬く、歯髄を守るよろいの役目をしています。

 しかし、硬いエナメル質も不適切な歯の磨き方を長年続けていますと、少しずつ削られてきます。

 このようにエナメル質が少しずつ削られて、象牙質が露出してくると通常では痛むことのない冷水、砂糖などの糖分を含むものなどがしみてきて、相談者が訴える症状となってきます。

 また、露出した象牙質表面に、黄色や褐色の食事に含まれる色素が沈着するようになります。また歯ぎしりやくいしばりの習慣のある人にも、エナメル質や象牙質に破壊が生じ、歯茎の部分の歯の表面にくさび状の欠損が形成されて、同じような症状が現れます。

 歯根の表面が見えるとセメント質が弱くなり、適切でない歯ブラシの使い方をしていると、どんどん摩耗して、進行すると冷たいものが当たらなくても、ズキズキとした痛みを伴ったり、歯が根元から折れてしまったりすることもあります。いわゆる神経を取ると言われる、歯髄の治療が必要となってくることもあります。

 相談者の場合、歯茎の清掃は問題ないと思いますので、歯ブラシの使い方や歯ぎしり、くいしばりの習慣がないか、一度かかりつけ歯科医院を受診してはいかがでしょうか。また、くさび状に欠損した部分の適切な充填(じゅうてん)(歯と同じ色の樹脂をつめること)をおすすめします。

 くさび型欠損は、こうした機械的な要因でつくられる病状ですので、高脂血症、高血圧などの内科的な疾患が直接の原因になることはないと考えられています。

 一生、自分の歯でかむためには、定期的な歯科医院でのお口の中のチェックが必要です。少なくとも、年に一度は検診を受けてください。

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