水野勝則福井総合病院整形外科部長

 【質問】1年前からひざの裏が痛み、整形外科で診てもらったところ、軟骨が減っていると言われました。現在、1カ月に1回注射をしてもらっています。足が少し腫(は)れて、歩くとつるような感じがあり、少し休むと治るのですが、また歩きだすと痛くなることの繰り返しです。どのような治療をしたらよいのでしょうか?(69歳、永平寺町)

 【回答】「ひざの裏が痛み軟骨が減っている」と言われ「1カ月に1回注射をしてもらっている」とのことですので、おそらくは「変形性膝関節症」の診断のもとに、「ヒアルロン酸の膝関節内注射」を受けておられるのだと思います。

 しかし「歩くと足がつるような感じがあり、少し休むと治るが、また歩きだすと痛くなることの繰り返し」と言われると、真っ先に思い浮かぶのは「間欠跛(は)行」という言葉です。間欠跛行とは「歩行により下肢の痛み・しびれ・脱力感が起こり歩行の持続が困難となるが、短時間の休息により再び歩行可能となる状態」を指します。

 間欠跛行は、大きく分けて「神経性間欠跛行」と「血管性間欠跛行」の二つに分類されます。神経性間欠跛行は「腰椎(ようつい)」(腰の骨)の中で「馬尾(ばび)神経」や「神経根」が圧迫されて、お尻から下肢の痛みやしびれなどの症状を引き起こすもので、代表的な疾患は「腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」です。

 神経性間欠跛行の特徴として、姿勢により症状が変化する、という点が挙げられます。具体的には、前かがみやしゃがみこむ姿勢をとると症状は和らぎます。したがって、自転車に乗っている時やシルバーカーを押して歩いている時は症状が出ない、ということがよくあります。

 もう一つの血管性間欠跛行は、下肢の血行障害に伴って歩行時にふくらはぎの痛みが起こるもので、代表的な疾患は「閉塞(へいそく)性動脈硬化症」です。神経性間欠跛行と異なり、姿勢による症状の変化はありません。

 このように間欠跛行の原因疾患として腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症という二つの全く異なった疾患が存在するため、どちらが原因なのか、あるいは両者を合併しているのかをしっかり鑑別する必要があります。診断には腰椎や下肢血管のMRI、両足のサーモグラフィーやABI(上肢と下肢の血圧の比)の測定が必要です。

 治療は、腰部脊柱管狭窄症に対してはまず薬物療法やブロック療法などの保存的治療を行い、神経の圧迫が著しい場合は手術的治療を考慮します。一方、閉塞性動脈硬化症に対しては薬物療法や運動療法を行い、血管の狭窄が著しい場合は、経皮的動脈形成術や人工血管によるバイパス手術を考慮します。まずは診断が大事ですので、主治医にご相談ください。

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