しかし、今回のお話をお聞きするまでは、これまで考えたこともなかったことなのですが “子どもたちのために学校を花園に”そんな夢が私のなかで広がり始めたのです。

では、具体的には学校にはどんな花が植えられたらよいのでしょう。

現在の学校は、先生も子どももあまりにも忙しすぎるようです。ですからあまり手を掛けなくても花を楽しめるためには、花の木を植えるのがよいように思えたのです。

そして‘花がきれいといって喜ぶという子どもたちのために’四季折々に咲く花があって、どの季節にも花を見る楽しみがあること。そのなかには、金木犀の花のように季節になるとどこからともなくその香りが漂ってきて、‘あっ!金木犀の花が咲いている’とその香りに、花の開花や季節の移り変わりを気づかされる、そんな花たちもあってもいいのではないかとおもえたのです。

子どもたちが在学中にそうしたことを何度か繰り返しているなかで、学校での出来事とその金木犀の香りとがつながっていって、いろいろな思い出となっていくようにもおもわれるのです。

学校に植える木としては、子どもたちにとってはあまり害のない木であることも大切でしょう。そして庭木として植木屋さんに売られている華やかな花の木だけでなく、小学生であれば野や山で自然が育む花にも親しんでもらいたいものです。

私の家のあまり日の当たらない北東側の、どくだみや、つゆくさが自生している草わらの空いた場所に、家の者が一重の山吹の花を山からこいできて植えてくれました。  

今ではその山吹もこんもりと茂り、季節には黄色の花をいっぱいつけてくれます。家の横には八重咲きなどいろいろな種類の‘むくげ’が何本も植えられています。

しかし、どこにでも見かける小ぶりで、薄紫色の、中心の色が濃い、一重の素朴な ‘むくげ’だけはないのです。どうしてもそのむくげがほしく、薄紫と白の一重のむくげの花の枝を挿し木してみました。無事根がついて、今ではまだ小ぶりながらたくさんの念願の花をつけてくれています。

その横に、秋の七草の一つ、赤、白のフジバカマの苗を昨年買ってきて植えました。それも背丈も伸び、見事に花をつけて風にそよぎながら気持ちよさそうに咲いています。ドアを開けるとすぐ目に付くそれらの花を目にするとき、‘ああ いいなぁー!’と、ひと時、つい眺め入ってしまうのです。

子どもの頃に心ときめかして何度も繰り返し読んで、今は孫たちとも読んでいるフランシス・ホジソン・バーネットの「秘密の花園」。子どもの頃から友達と花に親しんだのも、この本の影響もきっと大きかったのでしょう。

大きな木の下には、毎年植え替えなくても季節になればひとりでに芽を出し、花が咲く水仙やクロッカスそんな花々を植えることもできるでしょう。花々が芽を出し、花をつけるそんな光景を学校で子どもたちがわくわくして見つける姿も、今の子たちだからこそ是非にあってほしいなあとおもうのです。

日陰には日陰に育つ花を植えることができるのです。

そんなことを校長先生といろいろ話し合うことができました。

そして、孫娘の大好きだった、いつも一緒にわくわくしながら見た写真集。『ターシャの輝ける庭』も何か花壇作りのお役に立てばと紹介させていただきました。

その校長先生は、お話があって間もなく学校を変わられてしまいました。しかし、今回は残られている先生方にしっかりと引き継がれていたようです。

先日用事で学校に行ったとき、花壇作りのことを思い出して、ぐるっと校舎を見て回りました。まだ工事が始まったばかりのようでしたが、校舎の前に庭木を植えるために準備されていて、これまで空けられていた場所には、季節の花の木としてでしょう、花の木が植えられていました。その真ん中にあの金木犀もしっかりと植えられてありました。

花木のその傍らには、校長先生のお話にもあった‘つつじ’や‘あじさい’も助成をいただいたことを記した表示板とともに植えられてありました。どんな花が咲くのか今からとても楽しみです。

こうした社会的な助成により、素敵な花園が学校にさらに増えていったらどんなに素晴らしいことでしょう。学校生活を素敵な花々のなかで過ごせる子らはそのことだけでもどんなに心豊かな、楽しい一時を持つことができることでしょう。今回のお話をいただいて、私もまた一つ、心豊かな、楽しい夢を持つことができるようになりました。

そして今でも心の中に響いている‘ことば’があるのです。

それは、昨年来日されて日本各地で講演されたドイツの司祭さんが、そのうちの一つの講演の最後に未来の時代のイメージとしての言葉でしょう、語られた言葉です。

“これからの人間においては新しい思考力=倫理・道徳性が新しい力となってくるのです。そうした新しい力、本当の、高い道徳性、倫理性を持った人が住んでいる家の周りには、美しい花々が満ちあふれて咲いているのです”と。

学校の花壇について話し合って間もないあとに聞いたことでしたので、学校の花壇作りのお話と結びついて、とりわけ印象に残っているのです。

そして、更にうれしかったことがあるのです。サラナ親子教室で赤ちゃんのときから来られていて育たれたお子さんたちがもう小学生になられています。今回の化石採集という行事、大げさに言えば“地球の生成の歴史に関わる”その行事にそのお子さんたちも家族ぐるみで、一緒に参加できるようになったということです。