片耳難聴のこと、知ってほしい―。片耳がほとんど聞こえない中学生の子どもを持つ福井県福井市の母親から、福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に声が届いた。片耳難聴の人は、国内で30万人以上と推計されながらも、外見では分からないため周囲から理解されにくい。うまくコミュニケーションがとれなかったり、不便さを相手に伝えられず複雑な思いを抱え込んだりするという。健聴と難聴のはざまにいる当事者やその家族は、理解と配慮が広がることを望んでいる。

 片耳難聴は「一側性難聴」とも呼ばれ、遺伝子の異常など先天性のほか、ウイルス感染など原因はさまざま。大人になって発症する突発性もある。投稿者の息子は4歳のとき、健診で右耳の聴力がないと判明した。「僕は物心ついたころから、聞こえる左耳の側を相手に向けるようになっていた」。音の方向が分かりにくく、スマートフォンの着信音が鳴ると、どこにあるのか目で探すという。

 中学校では、授業が聞こえやすいようにと、教室右側の席にしてもらえるようになった。親しい友人には右耳が聞こえないことを伝えているが「声をかけられて聞こえにくいと、うなずいておけばいいか、と思ってしまうときもある」と話してくれた。

 母親は「本人ですら気付いていない不便さがあるんじゃないかと思う。自転車で出かけるときは特に不安」と案じる。息子は「そんなに心配しなくても大丈夫だって」と照れくさそうにつぶやいた。

 投稿者の知人の40代女性も、片耳難聴者の一人。投稿者にとっては、息子のことを同じ当事者として共感してくれる貴重な存在だ。幼いころ左耳の聴力がほとんどないことが分かった。「日常生活に大きな支障はないけれど、コミュニケーションで困る場面がある」という。

⇒半袖半ズボン姿の謎の少年像が福井県内に26ヵ所、その正体は…

 学生時代にアルバイト先で同僚に声をかけられても気付かず、無視したと誤解されそうになった経験がある。最近は口元がマスクで見えず、内容を把握しにくい。買い物先のレジにある透明カーテンも聞き取りの妨げになっているという。

 片耳難聴は身体障害者手帳の交付対象になっておらず、国の統計もなく実数は不明だ。投稿者は「相談できる相手がなかなかいなくて、行き場のない思いがある。多くの人に片耳難聴のことを知ってほしい」と打ち明けた。

  ×  ×  ×

 福井新聞「みんなで発掘 ふくい特報班」(ふく特)は、暮らしの中で感じた疑問や地域の困りごと、不正の告発といった情報を寄せていただき、記者が取材を進める調査報道企画です。LINEの「友だち」に登録してください。情報提供をお待ちしております。メールやファクス、郵便でも受け付けます。情報源の秘匿は厳守します。

⇒ふくい特報班「友だち」登録はこちら