時価20億円を超える重さ250キロの金塊。アクリル板越しに触ることができる=5月中旬、静岡県伊豆市の土肥金山

 ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが伝えられ、不安定な世界情勢を実感する日々。食材など生活に身近な品が値上がりする中、金の価格も高値で推移している。「そういえば伊豆市の土肥金山(といきんざん)には『世界一の金塊』があるが、時価はどうなったのだろう」。気になっていたところ、読者の疑問に答える静岡新聞(本社静岡市)「NEXT特捜隊」に、同市の30代主婦から「どれだけ価値が上がっているのでしょうか」との疑問が寄せられ、土肥金山へ車を走らせた。(静岡新聞大仁支局・小沢佑太郎)

 伊豆市唯一の沿岸部の土肥地区。静岡市の清水港と駿河湾フェリーでつなぐ土肥港のそばにあるのが、金をテーマにした観光施設の土肥金山だ。

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 土肥金山は佐渡金山(新潟県)に次ぐ金の産出量を誇った伊豆地域最大の金山。1370年代から採掘が始まったとされる。枯渇によって1965年に閉山し、坑道の一部を観光向けに整備して一般公開を始めた。

 「巨大金塊」が登場したのは2000年。ミレニアムの記念で土肥金山を運営する土肥マリン観光のグループ会社が重さ200キロの金塊を鋳造した。「あれ、今展示されている金塊の重さは確か250キロだったような…」。土肥金山の勝呂淳課長代理が経緯を教えてくれた。

 「元々は200キロだったんです。だけど『世界一』を抜かれてしまって」。お祝いムードもつかの間、04年に台湾政府が220キロの金塊を鋳造して記録を更新したという。そこで改めて250キロの金塊を鋳造し、世界一を奪還。06年にギネス世界記録に認定された。

 250キロの金塊は05年7月から一般公開を始め、現在はアクリルケースの穴から手を入れて触ることができる。公開当時の相場で価格は約4億1千万円だったが、今年に入って金の価格高騰に拍車が掛かり、4月には過去最高の1グラム8969円を記録。250キロの金塊は時価22億4200万円になった。

 土肥金山は価格高騰にあやかり「金塊に触れると金運が上がる」などと誘客のPRをする。しかし、勝呂課長代理は「世界情勢が混乱すると値上がりするのが金。手放しでは喜べない」と複雑な心境をこぼした。