福井県の荒川に架かる「吉の花橋」=福井県福井市間山町

 北陸自動車道・福井北インターチェンジの西側にある福井県福井市間山町。四十数軒の民家が立ち並ぶ集落の近くには荒川が流れ、そこに立派な橋が架かっている。銘板には「よしのはなばし」「昭和47年3月竣工」の文字。近所の70代の男性によると、集落の南側にある県道や水田、山に行くために日常的に通る橋だという。

 「昔は水害のたびに木製の橋が流された。だから、この橋ができたときは皆が喜んだんや」と、町内会長を何度も務めた男性(97)は振り返る。荒川は今より集落近くを流れていたが1970年代、土地改良と並行して荒川の流れを変える工事が行われ、その際に造られたのがこの「吉の花橋」らしい。

 住民に喜ばれ、生活の一部になっている身近な橋。しかし、維持管理の責任の所在が分からない「管理者不明橋」の一つだという。

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 福井県河川課によると、会計検査院の指摘を受けて国土交通省が2015年10月、橋の管理者を把握するよう都道府県に通達。河川整備計画がある水系を県が調査したところ、県内で22本の橋が占用許可の台帳に記載されていないと分かり、「管理者不明橋」として17年に国交省に報告した。

 河川法では橋などの工作物を設ける場合、河川管理者から占用許可を受けることを義務づけている。福井土木事務所の担当者は「吉の花橋はだれが架けたか、だれが管理するはずだったのか、記録が残っておらず分からない」と説明する。道路橋は5年に1回の点検が道路管理者に義務づけられているが、管理者が不明の橋は定期点検の対象になっていない可能性がある。

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 完成時期も名前も分かっているのに、管理者不明の橋はもう一つある。福井市河合小学校から数百メートル東側、八ケ川に架かる「キラキラ橋」。星やヒマワリ、鳥などの造形で飾られ、銘板には名称や「福井県」「2000年10月」の文字が刻まれている。地元住民の話では、完成当時は児童から名称を募ったらしく、通学路にもなっている。

 県の台帳に不記載の橋でも、老朽化などで大がかりな補修や撤去、架け替えをする際には改めて許可手続きが不可欠。その費用は原則、橋の管理者の負担だ。福井土木事務所は「キラキラ橋は県が関与して架けたのはほぼ間違いないが、これも記録がない」とし「キラキラ橋も吉の花橋も、福井市などと管理について今後協議を進めていく」としている。

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 福井新聞の調査報道「ふくい特報班(通称・ふく特)」に「福井県内にも管理者不明橋があるとインターネットで知った。危険なのでは」との声が寄せられた。福井県内の「管理者不明橋」の実情を探った。

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