沈下橋があった福井県福井市の板垣橋の下流付近。川底の改修工事に伴い常時沈んだ状態になっている=4月25日(足羽川右岸より)

 福井県福井市中心部の足羽川に県が2009年秋に親水目的で設置した沈下橋が、約2年半前から利用できなくなっている。水量が下がると川の中のコンクリート構造物が水面上に露出し、その上を歩いて渡る仕組みだが、川底の改修工事に伴い常時沈んだ状態になった。県は、沈下橋として再整備するかどうかは未定としている。

 沈下橋は、04年の福井豪雨の後、長期間の洪水対策工事で川から離れていた人たちに再び足を運んでもらおうと、川幅が狭く水深の浅い板垣橋の下流に1900万円で整備した。空洞のある四角のコンクリート構造物6基を川の中に設置した。水は普段、空洞の中を流れ、水位が下がると上部が露出する。安全柵を取り付け、幅1・5メートル、長さ22メートルの橋として人が歩いて渡れる。09年11月に完成した。

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 管理する福井県福井土木事務所によると、19年12月、川底が水流で削られ構造物が傾き、利用を中止したという。20年10月から21年5月にかけ、川底を固める工事の一環で構造物を埋め込んだ。構造物の上面が最大約90センチほど下がり、常時水中に沈んだ。

 福井県河川課によると、沈下橋は冬期や水量が多い日は閉鎖し、水位が下がる春から秋にかけての利用を想定していた。10年から19年までに利用できたのは1368日で、年平均137日。休日の利用調査では1日380人だった。

 同課は「親水空間として一定の役割は果たした。今後、渡河機能を戻すかどうかは検討したい」としている。

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 沈下橋を巡っては、計画段階で必要性や安全性が県議会で議論となった。同課によると完成した後は、増水時に構造物に引っかかった流木の撤去や、削られた岸辺の復旧など維持管理に730万円かかった。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)には「大雨が降るたびに工事をしている。橋の存在を知らない人も多いのに、意味があるのか」との声が寄せられていた。

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