つかず離れずの絶妙な間隔で、さくら(右)の後ろを追いかけるまる=5月2日、福井県坂井市内

 初夏の爽やかな風を感じながら、トコトコと住宅地を闊歩する犬と猫。福井県坂井市の田中まりほさん(67)が飼う白柴の雌「さくら」と雑種の雌猫「まる」の散歩風景が、近所の人たちの心を和ませている。田中さんと歩くさくらの後ろを、つかず離れずの絶妙な距離を保ってついてくるまる。いつともなく始まった日課というが、雨の日にはまるが部屋で寝たふりをして行かないことも。田中さんと気まぐれな2匹のほのぼの散歩は今日も続く。

 推定15歳と高齢のさくらはおっとりした性格。一方、推定6歳のまるは散歩中にほかの飼い犬が近づくと威嚇するほど“勝ち気”な性格。田中さんによると、1年ほど前からさくらの散歩にまるが“同伴”するようになった。

 「さくら、散歩に行くよ」。田中さんの声にピクリと反応し、玄関ドアの前でまるがちょこんと座って待機しているのが日常だ。

 散歩は朝夕の1日2回。コースは自宅の周辺で約20分ほどの範囲と決まっている。絶妙な距離感で、さくらの10~20メートル後ろをまるがついてくる。まるが遅れるとさくらの歩調はゆっくりになるそうで「まるがはぐれないように気遣っているみたい」と田中さん。

 植木の茂みに隠れたり道路に体をこすりつけたり、マイペースで散歩を楽しむまる。さくらと大きく離れると、慌てて走って追いかけてくる。2匹の散歩の様子は近所でも評判で、田中さんがさくらだけを連れて散歩していると「あら、今日はまるちゃんは?」と声を掛けられるのも日常だ。

 もともと、まるは田中さんの実家がある福井市国見地区の野良猫だった。5年ほど前、農作業のために実家に寄ったところ、庭先に止めてあるトラクターにすみ着いていたまるを見つけた。その後、実家に戻るたび餌を与えるなど気に留めていたが、2018年の記録的大雪の際に坂井市の自宅に連れ帰り、さくらとまるの生活が始まった。

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 家の中ではいつも一緒に過ごすさくらとまる。我慢強いさくらは、まるがちょっかいをかけてきてもじっと耐えるのだとか。まるは持病があり、昨年末に体調を崩したこともあったが「2匹ともいつまでも健康で、仲良く散歩できる日常が続いてほしい」。田中さんも近所の人たちも、そう願っている。