「重症化してから受診する患者が目立つ」と語る村田哲人センター長=福井県立病院

 新型コロナウイルス禍の長期化に伴う社会不安や景気低迷などにより、「コロナうつ」と呼ばれる心身の不調が福井県内でも目立っている。県内の精神科医は「悩みや不安を抱える人は早期に専門機関に相談してほしい」と呼び掛ける。

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 WHO(世界保健機関)によると、コロナ禍の中で、うつ症状や認知症、アルコール依存症などが世界的に増加している。県内でも感染が広がった2020年以降、不登校や自殺、ドメスティックバイオレンス(DV)が増加傾向にあり、外出自粛や休校、テレワークの急激な普及なども一因とみられている。

 福井県立病院こころの医療センター(福井市)の村田哲人センター長は「オンライン授業やテレワークの長期化で、知らず知らずのうちに心身が疲弊している可能性がある」と指摘する。同センターでは21年度、精神疾患の重症者が例年に比べて5~10%ほど多くなり、自殺未遂で緊急搬送される人も増えているという。

 デイサービスや訪問看護など地域で患者を支援する機能がコロナ禍で十分に機能しなくなり、村田センター長は「現在も以前の状態に戻りきっていない」と説明。アルコール依存の傾向がある人の場合、自宅で過度の飲酒が常態化する懸念もあるとして「孤立しないような支援が重要」と強調する。

 松原病院(同市)でも精神面の不調を訴える患者が1割ほど増加した。松原六郎代表理事は「経済的な問題に加え、行動制限による孤立や気晴らしができないことが深く影響している」と分析する。特に20~40代が目立つという。

 大型連休明けに多い「五月病」にコロナ禍が追い打ちをかける可能性もあり、松原代表理事は「一人で思い詰めて心理的な視野狭窄(きょうさく)を起こさないことが重要。心に柔軟性が持てるよう明るく前向きに過ごし、時には休むことも大切」と呼び掛ける。