開業1周年記念イベントでにぎわう道の駅「越前おおの荒島の郷」=4月23日、福井県大野市蕨生

 福井県内最大規模の道の駅「越前おおの荒島の郷」(福井県大野市蕨生)が4月下旬、開業1周年を迎えた。中部縦貫自動車道県内全線開通前の年間目標来場者数の2倍近い約75万人が3月末までに訪れ、好調な滑り出しを見せている。一方で、2026年春の県内全線開通に向けて県外客へのPRをどう進め、冬季の来場者数の落ち込みをどう解消するかといった課題も見えてきた。

◆魅力発信の拠点

 「越前おおの荒島の郷」は大野市が中部縦貫自動車道県内全線開通を見据え、地域の魅力を発信する拠点として2021年4月22日にオープン。新鮮な地物野菜のほか、大野の特産物を使った新商品を市内の事業者と連携して開発したり、地元の主婦が大野産の米粉からバウムクーヘンを手作りしたりしている。

 大手アウトドア用品メーカー「モンベル」(本社大阪府大阪市)が県内初出店。豊かな自然を楽しんでもらおうと、クライミングやカヌーの屋外体験施設も充実させた。大野市民を中心に約70人を雇用するなど、同駅の桶野誠副支配人は「地元住民から信頼され、県外客も大野の人の温かさが感じられるような店づくりを意識している」と話す。

◆開駅バブル

 開業直後の21年5月は約11万6千人、6月~11月も8万人前後が訪れるなど22年3月末までに75万4776人が来場し、同自動車道県内全線開通前の来場者目標の38万人を大きく上回り、「開駅バブルで多くの来場があった」(同駅担当者)。

 新型コロナウイルス禍で遠出を控える県内客が約7割を占め、市が21年10月下旬に実施したアンケート(回答者121人)によると、43・8%が市内観光地に立ち寄るなど、一定の誘客効果が出た。他の道の駅に比べ滞在時間が長い傾向にある特徴もあり、市産業政策課の五十川秀育課長補佐は、買い物、食事、体験を複合的に提供できたことが要因と分析。「体験の待ち時間でも気軽に施設内で休憩できる過ごしやすい施設づくりが成果に結びついた」と胸を張る。

 ただ、県外客は3割ほどに留まっている。市は県内全線開通後の来場者数の目標を年間80万人に設定しており、市、同駅担当者とも「全線開通後が本番」「これからどれだけ県外客を誘致できるかが勝負」と口をそろえる。今後、中京圏の高速道路のサービスエリアにパンフレットを設置したり、中京圏で放送されるテレビ、ラジオでの広報活動をより強化していく構えだ。

◆愛着ある施設に

 また21年12月~22年2月の冬期間の来場者は2万5千人前後に落ち込んでおり、地物野菜の種類が少なくなるという課題も見えてきた。雪を利用した冬季にしかできないイベントなどを企画したり、市内の農家らでつくる「道の駅産直の会」や地元事業者と連携し、一年を通して出荷できる野菜や果物の特産化を図ったりしていくという。

 「越前おおの荒島の郷」の桶野副支配人は「地元住民を巻き込んだイベントを企画することで、愛着を持って利用してもらえる施設にしていく」とし、今後は「大野の人と人、街と街をつなぐ観光発信に取り組み、中部縦貫自動車道の全線開通に備えたい」と意気込む。同市の五十川課長補佐も「荒島の郷や地域の事業者と一緒になって大野の魅力を磨き上げ、全線開通という大きなチャンスを形にしたい」と力を込める。