おなかに優しく手を当てながら話しかける上原千尋さん=福井県永平寺町の福井大学医学部附属病院

機械で胎児の様子を確認する上原千尋さん

 分娩室に入る女性に優しく声を掛け励ます。「赤ちゃん頑張ってますよ。一緒に頑張りましょう」「頭が見えてきましたよ」。産まれたばかりの赤ちゃんを丁寧に取り上げる助産師の上原千尋さん(24)=福井県福井市=は「命の誕生の瞬間に携わらせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです」。緊張をほぐし充実した表情を見せる。

 新型コロナウイルスの影響で立ち会いや面会が制限され、産むことに不安を感じる女性が増えた。懸念を取り除くため、妊娠時の食事や運動、授乳の指導、母子の体調管理まで一貫してサポート。陣痛時は子宮口の開き具合やおなかの張り具合を見て、お産の進行を慎重に確認する。

 「分娩はお母さんが命がけで臨み、赤ちゃんの一生が関わる大切な時間。いち早く危険信号に気付けるよう神経をとがらせています」。新生児と両親が無事対面し「幸せそうに病院を後にする姿を見ると本当にうれしい」と目を細める。

 めでたいことばかりではない。流産や死産といったつらいシーンも目の当たりにしてきた。悲しみを共に受け止めようと、亡くなった子どものために折り紙やメッセージを一緒に作るなど、女性に寄り添う。

 長野県長野市出身。弟ができた時に母親から「助産師さんがそばにいて安心できたから頑張れた」と聞き興味を持った。福井大学医学部に進み、実習で初めて赤ちゃんを取り上げると「目の前で起きた奇跡に感動しました」。命がつながった崇高な瞬間が今も忘れられない。

 看護師とは別の国家資格を持ち、専門的な知識と技術が求められる。経験を重ねながら、不妊治療や更年期障害なども勉強中だ。「助産師は女性の一生を支えることが使命。女性の頼れる存在になりたいですね」

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 新型コロナウイルス収束が見通せない中、社会を支え輝く女性の働き方や思いを紹介し、これからの生き方を提案していく。